専業法廷 存続の全面的見直し、司法院

J060601Y9 2009年6月号(J118)

 裁判官専門化を確実なものにし、民事・刑事事件を適切に審判するため、司法院副院長謝在全氏が専門チームを設置して、各地方裁判所に設けた専業法廷又は専門係の全面的見直しを行っている。謝副院長によれば、専業法廷が本当に必要なものかどうか?必要でないなら、専業法廷及び専門係を撤廃し、裁判官を通常の法廷に戻し、裁判官のマンパワーを最大限にいかすことができるという。

 現代の科学技術や商取引の形態が年々速やかに進化している。近年、重大で複雑かつ専門分野に関する民事争訟及び刑事犯罪の数が増え、裁判官が様々なタイプの事件に関わる専門知識に精通し、並びに速やか、適切に審理することを求めるのは実に困難である。専業法廷の設立は裁判官の専門化を通じて審判の効率をよりいっそう向上させ、訴訟の当事者がより適切な裁判を受けられ、人民が訴訟を行う権利を保障するための具体的な実現ではないかという。

 然しながら、各級裁判所は法令により各種専業法廷を設置しているが、専業法廷が発揮する機能は予想通りに行かない。加えて、社会の発展は日増しに複雑になり、専門的な問題に関する裁判官の処理能力に対する期待も高まっている。立法院本会期は3月31日に営造業法第67条ノ1の新設を認め、司法院が裁判所を指定して工事専業法廷を設立し、建設工事関連の専門知識又は審判経験を有する裁判官により工事紛争事件を取り扱うべきとし、さらに4月28日に証券投資家及び先物取引者保護法第28条ノ1の新設を可決し、保護機構が損失を受けた多数の証券投資家又は先物取引者のために団体訴訟を起こす事件を審理するときに、裁判所は専業法廷を設け、又は専門担当者を指名して取り扱わなければならないことを明確に定めた。以上のことから、各界の専業法廷及び専門裁判官に対するニーズはどれほどのものか分かるはずである。

 今回の会議は、専業法廷を設立する目的を如何に果たすか?現行各種類の専業法廷の統合・合併を検討する必要があるか?裁判官が専業法廷に参加する意欲をどうやって高めるか?専業法廷所属裁判官は其の類の事件の民事・刑事訴訟を併せて取り扱えるか?専門能力を如何に強化するか?専業法廷所属裁判官の資格条件はどう定めるか?専門資格や免許を取得した者から優先して選ぶべきか?事件の性質により裁判所に跨る(大きい管轄区域。各裁判所を横断した専業法廷)専業法廷を設立することが可能か?専門分野に関連する事件は事件の性質によって強制調停手続きを先行させることが可能かどうか等議題についてディスカッションを行った。

 各地方裁判所の管轄区域が異なるため、例えば、台北地裁の1ヶ月分の民事・刑事事件について、(税務関係を除く)銀行法、証券取引法、資金洗浄防止法等金融十法違反の刑事事件だけでも十数件ある。これに関連する民事事件は1ヶ月だけで百件を超える場合もよくある。

 ただ、去年7月1日に知的財産裁判所発足後、同年8月29日に台北地裁に三つの金融専業法廷を設立した後、事件数と分配の流れはかなりの変化を見せている。一方、労働者法廷の事件数は依然に減少しないものの、海商・国際貿易関係訴訟の数は比較的少ない。台北地裁を例に、金融専業法廷、労働者専業法廷、選挙専業法廷、知財専業法廷、少年家事専業法廷のほか、医療専門係、海商国際貿易専門係、性的犯罪専門係がある。但し、同裁判所の民事・刑事裁判官は約120名。明らかに人手が足りない。(2009.06)

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