K・SWISSの時計等についての商標登録 知的財産裁判所「取り消す」判断 時計製造で世界に名を馳せる国「SWISS」と混同誤認惹起する虞あり

J090617Y2 2009年7月号(J119)

 アメリカで人気のスニーカーブランド、「K・SWISS」は2006年、「K・SWISS & Shield Device」をもって時計等の商品について台湾で商標登録されている。ところが、知的財産裁判所は先日、スイスは品質の優れた時計で世界に名を馳せる国であり、一般の人々がSWISS(スイス)をみると、スイスで製造したものと連想する可能性が極めて高く、K・SWISSが保有する登録商標は消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあり、台湾商標法に違反するとして、知的財産局に係争登録商標の取り消しを命じる判決を言い渡した。

 K・SWISSは1966年に設立以来、運動靴、スポーツウェアなどが海外に輸出されるほど著名である。2006年6月22日にK・SWISSは「K・SWISS & Shield Device」について、時計及び時間計算機、腕時計等を指定商品に、台湾知的財産局から商標登録の認可を受けている。

 「SWISS」という英文字が商標登録を受けられるとは思ってもみなかったと、スイスの時計製造業界で問題視され、そこでスイス時計業界団体のスイス時計協会は台湾国際専利法律事務所に委託して、知的財産局に異議を申し立てたが、異議申立不成立の処分になり、さらにその上級機関の経済部に訴願を提起した。しかし、訴願決定でも知的財産局による異議申立不成立の原処分が維持されたため、知的財産裁判所に裁判を起こした。

 知的財産裁判所は先日、知的財産局の原処分及び訴願決定、並びに「K・SWISS & Shield Device」の商標登録の取消しを命じる判決を言い渡し、スイス時計協会は勝訴を獲得した。

 知的財産裁判所は審理するに当たり、K・SWISS社に意見を陳述する機会を与えるため、訴訟への参加を認める裁定を下した。K・SWISS社は抗弁で、同社がスニーカーで世に名を馳せるものの、会社は多角化した経営を目指しているし、両社の指定商品の関連性が低く、市場での区別が鮮明で、かつ商業上の競争関係が存在せず、消費者に混同誤認を生じさせるようなことはあり得ないと主張。

 知的財産裁判所はK・SWISS社が提出した係争商標の使用証拠について判断したところ、同社の商標の範囲は主に、靴類や衣類に集中し、当該商標を多くの種類若しくはサービスに使用することはなく、同社で多角化した経営が行われているとは認定しがたい。

 台湾の商標法により、商標にその商品又は役務の性質、品質、産地について公衆に誤認、誤信させることがあれば、登録ができないとなっている。(2009.06)

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