著作権仲介団体 共同の利用料率を制定すべき、知的財産局は法改正を検討中 著作物利用料をめぐる市場の混乱を収拾するため

J090618Y3 2009年7月号(J119)

 知的財産局は法改正を行い、著作権仲介団体に共同の料率を定め、かつ利用料徴収窓口を指定することを求める。利用料徴収窓口の設置は団体側が自ら協議し、テレビ局や放送局等利用者に料金を徴収する。同局は一ヶ月以内に改正条文を行政院に提出する予定である。

 台湾の音楽著作権仲介団体の利用料の計算方法がまちまちで、利用者は異なる仲介団体と一々利用料について交渉しなければならない。このため、紛争が頻繁に起きる。知的財産局は今までバランスが取れるような解決策を求めて多方交渉を試みたが、合意が得られなかった。

 したがって、同局はスイスの制度を参考に、新たに著作権仲介団体条例第30条を修正し、仲介団体が利用者の利用態様が同じな状況の場合、共同料率を定めなければならず、また統一した利用料徴収の窓口を指定しなければならない。窓口は、利用者と仲介団体が一々交渉するのでなく、仲介団体らが自ら協議して設置するものである。仲介団体に猶予期間を与えるため、同改正条文が国会を通過して二年後に実施する。

 また、著作権仲介団体条例草案第12条も修正する。これまで仲介団体の著作物利用料率は二通りしかない。一つは単一利用許諾、もう一つは一括許諾である。今後は新たに三つ目の方法を定める。つまり単一曲で利用料を計算する。即ち、利用者は利用した音楽著作物についてのみ料金を支払えばよい。

 次は著作権仲介団体条例の一部を改正する案のポイントである。
1.共同利用料率を新設する:
 団体が多く、かつ料率計算方法の不一致による問題を解決するため、二つ以上の管理団体が単一の利用料率「共同利用報酬率」を共同で定める規定を新設する。著作権事務所管庁が指定する利用態様について、指定される関連集中管理団体は協議して共同使用報酬率及びその使用報酬の分配方法を共同で定め、並びにその中の一つの集中管理団体が利用者から徴収する。ただ、共同使用報酬率及び分配方法等事項については、複数の集中管理団体が協議して定める必要があるため、交渉や準備などに二年間の猶予期間を設ける(改正条文第3条、第30条)。
2.民法に「補助宣告」が新設されたことにあわせて、集中管理団体の発起人の消極資格を修正する:
 「補助宣告を受けた者」は、精神状態が精神的障害その他の心身的・知的障害のため、その意思表示又は受けた意思表示、その意思表示の効果を識別する能力が著しく不足である。集中管理団体の発起人は団体の発起・設立等高度な専門性及び複雑性を有する仕事及び関連書類の作成を担当するので、完全な行為能力を有する者が望ましい。したがって、民法の改正にあわせて、発起人の消極資格の一を修正する(改正条文第6条)。
3.使用報酬率の計算方法の新設:
 台湾では多くの著作権管理団体があり、利用者が実際に各団体が管理する著作物を利用する数が違うので、もし、一定の金額或いは比率により計算する方法が一つしかない場合、たとえ利用者が実際に利用する数が低くても、利用量が高いときと同じ料金を支払わされるのでは、フェアではない。したがって、単一著作物の一回利用のみの料金(即ち単一曲の計算方法)を計算するモデルが必要なため、一括許諾の場合には一定の金額或いは比率による、及び単一著作物の一回利用の料金の計算方法を同時に定めなければならない(改正条文第24条)。
4.審議された使用報酬率が変更できない期間を修正する:
 使用報酬率の審議過程においては大量のコストを投入したため、一度審議された使用報酬率は一定期間実施を維持すべきである。したがって、その期間を三年間とする。但し、重大な事情変更があった場合、利用者は審議を申請し、集中管理団体も改めて定めることができる(改正条文第25条)。
5.仮支払(一時的支払)の基準を修正する:
 今の集中管理団体のライセンス実務上、使用報酬率によらず、かえって比較的低い料金を徴収することがよくあるため、使用報酬率が定めてある場合を、本来の使用報酬率又は約束した使用報酬を択一して、仮支払の基準とすることができるように修正する(改正条文第26条)。
6.団体が管理する著作財産権の情報提供の方法を修正する:
 集中管理団体はその管理する著作物の情報について、公衆の要求に応じて提供するほか、現在の実務上、その著作財産権に関する情報をオンライン化して公衆に検索サービスを提供しているため、現状にあわせて団体が自ら進んで管理範囲情報をインターネットで公開することを義務付ける(改正条文第27条)。
7.著作権事務所管庁の業務執行方法変更命令に従わないときの罰則を新設する:
 改正条文第41条第4項により、著作権事務所管庁は集中管理団体に業務執行方法の変更又はその他必要な措置を命ずることができる。ただ、集中管理団体が所管庁の命令に従わないときに本条例には特別な罰則規定が設けられていない。所管庁が前項規定により団体に対する監督・指導効果を強化するため、日本の著作権等管理事業法第31条を参考に、集中管理団体が当該命令に違反する行為に過料を科する(改正条文第44条)。
(2009.06)

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