行政訴訟法改正案、司法院会議を通過、立法院へ

J090609Y9 2009年7月号(J119)

 修正63か条、新設5か条からなる行政訴訟法の一部を改正する案は2009年6月9日の司法院会議を通過した。今回の法改正は行政訴訟二級二審制が施行以来9年間の二回目の改正となり、新制実施して10周年を控え、格別の意義がある。この改正案には「訴訟の利便性」、「国民の権利の保障」、「司法機能の向上」という三つの目標を達成したいという思いが込められている。改正案のポイントを次のとおり説明する。

 「訴訟の利便性」について、主に管轄権の規定(第15条、第15条ノ1、第15条ノ2)を修正し、及び訴訟書類の逓送方法を新設する(第59条、第83条)ことによって、人々が各種現代の通信技術をいかして訴訟書類を送達することができるほか、最寄りの管轄裁判所にまで救済を求められるようにする。また、裁判所が証拠調べをするときにも更に便利になり、審判の効能、国民の権利の保障にプラスになる。

 そして「国民の権利の保障」について、主に訴訟移送後の訴訟費用の取扱い方(第12条ノ5、第104条)を新設し、送達関連規定(第64条、第73条)、当事者の証人への発問に関連する規定(第154条)を修正する。さらに損害賠償請求訴訟において原告が損害額を証明できない場合の裁判所の処理のしかた(第189条)、取消訴訟進行中において原処分が原状回復できず又は消滅したときの裁判所の処理のしかた(第196条)を新設する。

 「司法機能の向上」については、主に第三者が訴訟ファイルの閲覧を請求する場合は、裁判を行う裁判所が許否を判断(裁定)する(第96条)、当事者が裁判費用の納付を命ずることは、裁判長が行う(第100条)。このほか、判決宣告の期日の指定(第204条)を修正する。簡易(略式)手続を適用する事件の訴訟目的額を新台湾ドル30万元以下に引き上げる(第229条、第230条)。行政裁判所の判決を経て却下された再審の訴えについて、同一の事由を以って更に再審の訴えを提起することができない規定(第274条ノ1)を新設し、並びに民事訴訟法を準用する方法及び条文を検討する(第18条、第307条ノ1)。法改正は、社会経済の発展、行政訴訟略式手続の適用範囲の拡大、司法資源の合理的な分配にあわせて行い、審判の機能を向上させるのが狙いである。

 現行行政訴訟法は1998年10月28日付総統令を以って公布され、2000年7月1日に施行する。この二級二審の訴訟制度が施行して9年の間に、国家法制、社会・経済環境ともに大きく変化し、内外の行政訴訟理論及び関連制度が大きな発展を遂げ、行政訴訟法が準用する民事訴訟法も数回の法改正を行ってきたため、あわせて検討をすることになった。(2009.06)

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