二次公開放送刑事罰撤廃へ 民事救済しかできず、著作権法第37条を改正

J090805Y3 2009年9月号(J121)

   知的財産局は欧州連合、中国、香港、スイスなどの国の規定を参考に、著作権に対する保護は民事救済だけで十分であり、刑事罰則で著作権侵害の責任を追及する必要がないとして、二次公開放送の利用者が著作物を利用する行為への刑事罰を撤廃することに決めた。今後、営業場所でラジオ或いはテレビを放送するときは、たとえ事前に許諾を受けなかったとしても、権利者にとっては民事救済しかできない。

   公開放送という二次的利用行為は、社会上よくみられる著作物の利用形態である。然しながら、台湾の実務上、一次放送(ラジオ局、テレビ局の公開放送をいい、原放送ともいう)の利用許諾は営業場所で為される公開放送の二次的利用に及ばない。二次放送の利用者は新たに全ての被利用著作物のライセンシングを処理しなければならない。ところが、これらの利用行為は大量に他人の著作物を利用し、その利用する著作物については事前に知ること、支配することができない特徴があり、一々その利用する著作物について許諾を得ることができず、随時に著作権侵害と訴えられるリスクにさらされている。しかも公開放送の二次的利用行為について、権利者が得られる経済的利益は限定的で、その著作権の保護は民事救済だけで十分であり、刑事罰を必要としない。

   以上の問題について、外国実務をみてみると、権利者は仲介団体に権利の行使を任せるのがほとんどで、他の救済が消尽せず、かつ無効となる前には、容易く刑事上の訴追をしたりしない。したがって、ベルヌ条約第11条ノ2第2項を照らし合わせて、再放送、スピーカーその他の器材をもって公衆に著作物の内容を伝達する著作権者が専有する権利について、加盟国は権利行使の条件を決めることができるため、著作権法第37条第6項を改め、第2号、第3号を新設して、原放送していた著作物を再び公開放送、又はスピーカーその他の器材を以って原放送していた音声若しくは映像を公衆に伝達する場合に関わる著作権問題は民事救済のみに限定し、刑事救済を排除する。

   注意に値するのは、知的財産局が法改正を行い、排除しようとするのは個別権利者の刑事訴追権で、著作権集中管理団体のそれではない。知的財産局の王美花局長はこれについて、集中管理団体管理条例では既に共同利用料率を定めさせるため、個別権利者の問題のみ著作権法に立ち返って処理する、と解釈している。

著作権法第37条新旧条文対照表

改正条文

現行条文

37条 著作財産権者はその著作物の利用を他人に許諾することができ、利用の許諾に係る地域、期間、内容、利用方法又はその他の事項は当事者の約定による。その約定が不明な部分については、未許諾と推定する。

2  前項の許諾は、著作権者が後にその著作財産権を譲渡し、又は再許諾することにより影響を受けない。

3  非専属(専用)許諾における被許諾者(ライセンシー)が著作財産権者の承諾を得ないで、その授与された権利をさらに第三者の利用に許諾することができない。

4  専属許諾における被許諾者はその許諾された範囲内において、著作財産権者の地位をもって権利を行使し、また自己の名義をもって訴訟上の行為をすることができる。著作財産権者は、専属許諾の範囲内での権利行使ができない。

5  2項から前項(第4項)までの規定は、中華民国90年(2001年)1112日付け本法改正施行以前に為された許諾については、適用しない。

6  次に掲げる場合のいずれに該当するものは、第七章の規定を適用しない。但し、著作権集中管理団体が管理する著作物に属する物は、この限りでない。

一.音楽著作物は、利用許諾を受けてカラオケ装置に複製されたときに、利用者はそのカラオケ装置を利用して当該著作物を公開に実演する場合。

二.原放送していた著作物を再び公開放送する場合

三.スピーカーその他の器材をもって原放送していた音声又は映像を公衆に伝達する場合。

37条 著作財産権者はその著作物の利用を他人に許諾することができ、利用の許諾に係る地域、期間、内容、利用方法又はその他の事項は当事者の約定による。その約定が不明な部分については、未許諾と推定する。

2  前項の許諾は、著作権者が後にその著作財産権を譲渡し、又は再許諾することにより影響を受けない。

3  非専属(専用)許諾における被許諾者(ライセンシー)が著作財産権者の承諾を得ないで、その授与された権利をさらに第三者の利用に許諾することができない。

4  専属許諾における被許諾者はその許諾された範囲内において、著作財産権者の地位をもって権利を行使し、また自己の名義をもって訴訟上の行為をすることができる。著作財産権者は、専属許諾の範囲内での権利行使ができない。

5  2項から前項(第4項)までの規定は、中華民国90年(2001年)1112日付け本法改正施行以前に為された許諾については、適用しない。

6  音楽著作物は、利用許諾を受けてカラオケ装置に複製されたときに、利用者はそのカラオケ装置を利用して当該著作物を公開に実演する場合は、第7章の規定を適用しない。但し、音楽著作物が著作権仲介団体の管理下におかれた場合は、この限りでない。

2009.08

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