刑事裁判迅速化草案公聴会、一定の期間を超えても確定しない場合 起訴を棄却するか?無罪とするか?意見分かれる

J090818Y9・J090817Y9 2009年9月号(J121)

   司法院によれば、欧州裁判所の判決をまとめてみると、通常の訴訟手続が10年を超えても確定できない事件は「合理的な期間」内に結審しなかったと見られることになる。この基準でわが国裁判所の事件審理の状況をみれば、司法院のまとめで、今年5月末の時点で、各級裁判所で10年を超えても結審しない事件は138件に達し、12年を超えても結審しない事件も67件ある。

   国際人権基準に合致し、並びに国民が公正、合法、迅速な裁判を受けられる権利を確実に保障するため、司法院は「刑事裁判の妥当化・迅速化に関する法案」(素案)を検討し、2009817日から台北、台中、台南、高雄、花蓮各地で次々に公聴会を開いている

 刑事裁判の迅速化に関する法案のポイントは次の四点が挙げられる。

1.身柄拘束(勾留)中の被告に対し、裁判所が公判を開く間隔は7日間又は14日間を超えてはならない。(第5条)

2.10年又は12年を超えてもなお判決が確定できない事件について、裁判所は斟酌して起訴を棄却することができる。新たな事実或いは証拠がない限り、再び起訴をすることができない。(第6条)

3.被告又は弁護士が言い訳をつけて裁判を長引かせようとすることで、判決が確定できない場合は、起訴棄却の規定を適用しない。

4.事件審理が6年を超え、差戻しが3回を超えた事件について、前審の判決で無罪とされた場合、検察官は再び上訴をすることができない。前審の判決で有罪とされたときに、違憲・違法の場合に限って上訴することができる。(第9条)

「刑事裁判の妥当化・迅速化に関する法案」を制定するには、司法院は次の要点を掲げている。

1. 立法の目的は国民が訴訟において公正、合法、迅速な裁判を受ける権利を保障   する。

2. 裁判は妥当かつ迅速に行い、手続は公正かつ適切でなければならない。

3. 訴訟手続に参与した人々は信義誠実の原則、いわゆる信義則に基づいて訴訟手続き上の権利を行使すべきであって、これを濫用してはならない。

4. 準備手続を確実なものにすべきことを明確に掲げ、集中審理を行う。

5. 身柄拘束中の被告が関わった事件について、優先かつ特別に迅速な方式で連続して公判を開いて審理しなければならない。

6. 事件が係属して一定の期間を超えてもなお判決が確定できない場合、裁判所は関連事項を斟酌した後、起訴を棄却する結審体制を裁定することができる。

7. 事件が係属して一定の期間を超え、かつ最高裁から数回にわたって差し戻された場合、最高裁は特別審査体制を起動すべきである。

8. 検察官、弁護人の事由によって、訴訟手続の進行を妨害する場合の処理原則を明確にする。

9. 裁判の妥当化・迅速化の目的を達成するため、他の機関にはこれに協力する義務を定める。

10.裁判の妥当化・迅速化及び人権保障のため、国には効率的な訴訟制度及びこの目標を実現する体制や環境作りを構築すべきである。

11.裁判の妥当化・迅速化を促進するために必要な訴訟規則を司法院が定めることができる。

12.自訴案件は本法の規定を準用する。

   司法院は裁判が長引く問題を解決する方策を模索すると同時に、裁判の品質と効率を向上させるのに欠かせない基本措置も提出した。裁判官の専門知識を充実させ、専門法廷を設立すること、司法事務官等補佐官を増えること、専門鑑定能力を改善して訴訟の長期化を回避すること、二審を事後審兼続審制へと引き続き推進すること、司法関係のシンクタンクを立ち上げること、裁判官アシスタントを補充することなど。

   2009514日、わが国は国連人権規約の自由権規約「市民的及び政治的権利に関する国際規約」及び社会権規約「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約」を批准した。その前に、総統が2009422日に公布した「市民と政治的権利に関する国際規約及び経済的・社会的・文化的権利に関する国際規約施行法」第2条により、国連の1966年の市民的及び政治的権利に関する国際規約の規定は、国内法の効力を有する。その規約の第14条第3項第3号により、刑事被告が審判される時間を故なく延ばしてはならない。また、第9条第3項は明確に、「身柄が拘束されている者は、合理的な時間内に審判を受け、又は釈放される権利がある」と定めている。

   これだけでなく、司法院は大法官会議第446号、第530号解釈を通じて、再三にわたって国民が裁判所における公正、合法、迅速な裁判を受ける権利があると宣告している。したがって、国民が公正、合法かつ迅速に裁判を受ける権利は、わが国刑事被告の基本的人権の一つであることはいうまでもない。(2009.08

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