「刑事裁判妥当化・迅速化法案」、司法院 今月に立法院へ上呈の考え

J090928Y9・J091001Y9 2009年10月号(J122)

   司法院は今月に立法院へ「刑事裁判の妥当化・迅速化に関する法案」を上呈し、順調に立法化することを願いたいとの考えを示した。特に注目を集めている同法第5条は勾留案件に関する規定で、優先にかつ迅速に集中審理することによって、身柄を拘束されている被告の人権に配慮するとされている。

   司法院は2009年8月から同法案に関して台湾各地で六回の公聴会を開いた。公聴会に参加した学識者、専門家は被告が身柄拘束中の事件について優先かつ迅速に審理すべきという考え方に同調である。司法院も被告が身柄拘束中の事件の速やかな結審は実に、刑事裁判の妥当化・迅速化を考える上で最も核心的な問題であると表明。(2009.09/2009.10)

刑事裁判の妥当化・迅速化に関する法案
第1条 刑事裁判の公正、合法、迅速を確保し、人権及び公共利益を保障するため、特別に本法を制定する。本法に規定のない場合、その他の法律の規定を適用する。
第2条 裁判所は法により迅速かつ周密に証拠を調査し、手続の公正・適切を確保し、妥当かつ慎重に事実を認定して裁判の根拠とし、並びに当事者及び被害者の正当な権益を保護する。
第3条 当事者、代理人、弁護人及びその他訴訟手続に参加し、訴訟行為をする者は、信義則により訴訟手続き上の権利を行使しなければならない。これを濫用し、また故なく引延ばすことができない。
第4条 裁判所が準備手続を行うときに、刑事訴訟法関連規定を確実に守らなければならず、準備手続終結後、裁判の妥当化・迅速化のため、なるべく速やかに集中審理を行う。
第5条 裁判所は身柄が拘束されている被告について、優先かつ密集に集中審理をしなければならない。
第6条 第一審の係属日から既に10年を超え、まだ判決が確定できない事件について、裁判所は次に掲げる事項を斟酌して、被告が迅速な裁判を受ける権利を侵害し、情状が重大で、適当に救済する必要があると認めるときは、訴訟手続を終止する判決をし、又はその刑の軽減を酌量することができる。一. 訴訟手続の遅延は被告の事由によるかどうか。二. 案件が法律及び事実上の複雑な程度並びに訴訟手続の遅延の衡平な関係。三. その他迅速な裁判に関する事項。前項訴訟手続を終止する判決は、上訴の提起を経て、上級裁判所が理由ありと認めるときは、判決を以ってこれを取り消し、事件を原審裁判所に差し戻さなければならない。理由がないと認めるときは、判決を以ってこれを棄却しなければならない。前二項の訴訟手続を終止する判決に関しては、最高裁判所を除き、当事者が第一項に掲げる各号事項について口頭弁論を行った後にしなければならない。
第7条 前条訴訟手続の終止判決が確定した後、当事者が新しい事実又は新しい証拠を発見しない限り、裁判の継続を申し立てることができない。 前項裁判継続の申立ては、訴訟手続の終止判決が確定した後から6ヶ月以内にしなければならない。 裁判所は裁判継続の申立てが不適法又は理由がないと認めるときは、裁定(決定)を以ってこれを棄却しなければならない。理由があると認めるときは、裁判継続の裁定をしなければならない。 刑事訴訟法第316条は、裁判所が訴訟手続の終止判決をするのに準用する。第429条、第431条の規定は、前項裁判継続の申立手続において準用する。
第8条 裁判所が訴訟手続の終止判決をするときは、裁定を以って付帯民事訴訟を管轄裁判所の民事法廷に移送しなければならず、並びに刑事訴訟法第504条第2項、第3項の規定を準用する。
第9条 案件は第一審係属日から既に6年を超え、かつ最高裁判所の三回以上の差戻しを経た後、第二審裁判所は差戻し審で第一審が為した無罪判決を維持し、又はその為した無罪の差戻し審判決が差戻し審前に同審級裁判所が二回以上の無罪判決をしたときは、最高裁判所に上告することができない。 案件は第一審係属日から既に6年を超え、かつ最高裁判所の三回以上の差戻しを経た後、前項の場合を除き、最高裁判所に上告することができるのは、その上告理由は次に掲げる事項に限る。一. 判決で適用される法令が憲法に抵触する。二. 判決は司法院解釈に違反する。三. 判決は判例に違反する最高裁判所は案件には前項に定めた上告理由がないが、次に掲げる場合のいずれに該当し、取り消さなければ著しく正義に反すると認めるときは、原審判決を取り消すことができる。一. 明らかに判決の結果に影響する重大な事実の誤認がある。二. 量刑又は保安処分の宣告が著しく不当である。最高裁判所は第2項案件について第6条の訴訟手続の終止判決をする場合に該当すると認めるときは、当該規定を優先に適用しなければならない。刑事訴訟法第377条から第379条、第393条第1号の規定は、第2項案件の審理においては、適用しない。
第10条 前条案件は本法施行前に既に第二審裁判所で判決を経て、最高裁判所に上告できる期間内にあり、上告期間内に上告を提起し、又は既に最高裁判所に係属するときは、刑事訴訟法第三編第三章規定を適用する。
第11条 検察官若しくは弁護士が担当する代理人、弁護人が裁判長の訴訟手続に関する命令に違反し、又は言い訳をつけて裁判を引延ばし、訴訟手続の迅速な進行を妨害する場合、裁判所は当該検察官若しくは弁護士に理由の説明を命じることができる。 前項の場合においては、裁判所は必要があると認めるときはそれぞれ当該検察官を監督する権利のある人若しくは当該弁護士の所属する公会(弁護士会)に通知して、適当な処置を取らせることができる。前項監督権者若しくは弁護士会が通知を受けた後、なるべく速やかにそのとった処置を裁判所に通知しなければならない。
第12条 裁判所は迅速な審理のために関係機関の協力を必要とするときは、当該関係機関は優先かつ速やかに協力しなければならない。
第13条  裁判の妥当化・迅速化及び人権保障の目的を達成するため、国は効率のある訴訟制度を構築し、適当な司法マンパワーを増やし、国民が利用しやすい弁護士の体制及び環境を作らなければならない。
第14条 司法院は手続の正当性を確保し、裁判の効率を促進し、実質的な弁護を強化し、準備手続を確実なものにし、集中審理を行い、訴訟への指揮を充実させ、及び訴訟手続参加者の権益を保障するために、訴訟規則を定めることができる。
第15条 本法施行前に既に裁判所に係属した事件についても適用する。
第16条 本法の施行期日は司法院が命令を以って定める。

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