特許法改正案、12月11日に立法院へ

J091203Y1 2010年1月号(J125)

 特許法一部改正法案は123日に閣議決定され、同11日に立法院へ送られた。今回の改正は四つの方向性を指摘することができる。

1.    産業発展のニーズ:例えば動植物特許の解禁による農業科学技術の研究開発を促し、遺伝子組み換えされた動植物も特許が保護する対象になり得る。医薬品実験・研究の免責等々。

2.    国際調和(ハーモナイゼーション):TRIPS協定の改正に合わせて、公共衛生課題への取組み、優先権証明書類を補正する法定期限の修正、故意によらない法定期間の遅延の場合における回復請求のできる規定の追加、及び優遇期間主張の適用拡大等々。

3.    審査実務上のニーズに応じて審査体制の健全化を図る。

4.    特許権の保護を強化し、特許権侵害の関連規定を改正する。

 改正法案大綱(骨子)は次のとおり要約した。

1.    考案の位置づけを明確にする:考案の発明、実用新案及び設計の上位概念であり、考案が「実用新案」或いは「設計」であるという誤解を招くを避け、また現行法における「考案」に対する広義、狭義の範囲が不一致するのを解決するため、発明、実用新案及び設計をともに考案の類型に定める。(改正条文第1条)

2.    意匠(新式様専利)の名称を「設計意匠」(設計専利)に変更する:産業界及び国際間の設計に対する保護の通常の概念に合わせ、並びに設計への保護対象を明確にするため、国際間の立法例を参考に、現行「新式様」を「設計」に修正する。(改正条文第2条と第123条)

3.    発明、実用新案及び設計の「実施」の定義規定を新設:「実施」は「製造、販売の申し入れ、販売、使用又は上記目的のために輸入をする」等行為を含み、「使用」の上位概念に属する。現行法での「使用」と「実施」の用語の不一致による解釈上の問題を解決するため、「実施」の定義規定を追加するとともに、関連規定における「実施」と「使用」の用語を修正する。(改正条文第22条、第58条、第89条、第124条及び第138条)

4.    優遇期間の適用範囲を修正し、並びにその事由追加する:事実発生後6ヶ月以内に発明特許及び実用新案の登録出願をする優遇期間の適用範囲は現行法では、新規性にとどまるが、今回の改正で、新規性及び進歩性(設計意匠の場合は創作性)を含むように修正し、適用範囲を拡大する。優遇期間を主張できる事由に、自己の意思により刊行物に発表した場合を新設する。(改正条文第22条及び第124条)

5.    動植物特許出願の解禁:国内のバイオテクノロジー産業の発展を促進するため、動物・植物に関する発明も特許のできる対象に加えいれる。(改正条文第24条)

6.    復権の導入:イノベーション、研究開発の成果への保護を奨励するため、出願人又は特許権者が故意によらないで出願時に優先権を主張せず、主張しなかった、又は期間内に特許料(年金)を滞納したとみなされ、権利喪失の効果を生じた場合、その権利の回復を請求する規定を新設する。また、特許権を回復する効力は、原特許権消滅後から特許権回復許可の公告前に善意で実施し又は必要の準備を完了した場合に及ばない。(改正条文第29条、第52条、第59条及び第72条)

7.    分割出願時点の制限を緩和する:特許付与後分割制度を導入し、出願人が初審特許査定書送達後30日以内に分割出願を提出することができる規定を新設する。(改正条文第34条)

8.    審査中の修正制度を完備させる:「補充、修正」の用語を「修正」に改め、出願人が自ら進んで修正を提出する時間の制限を削除する。審査の時間を引き延ばすのを避けるため、「最後通知」制度を新たに設ける。即ち、特許事務所管庁から最後の通知があった後、出願人は特許請求範囲を修正しようとしても、特定の事項についてのみ認められる。これに違反する場合、特許事務所管庁は直接査定をすることができる。(改正条文第43条)

9.    医薬品又は農薬品の特許権権利期間の延長に関する規定を修正する:医薬品・農薬品特許権の権利期間の延長に関連する規定を緩和し、許可証を取得するために発明を実施できない期間が公告後2年以上とする現行規定の制限を削除する。特許権の権利期間が満了するときになお(延長申請についての)査定がなされない場合、その権利期間は既に延長されたとみなす。特許権権利期間の延長を認める範囲は、許可証に記載された有効成分及び用途に限定する。(改正条文第53条、第54条及び第56条)

10.   特許権効力が及ばない事項を修正・追加する:商業目的によらない未公開行為、特許権者が第72条第2項により特許権の効力を回復しかつ公告を経る前に善意で実施し又はすでに必要な準備を完了した場合、薬事法に定めた薬物検査登記許可又は外国の薬物販売許可を取得する目的で行った研究、試験及びその他の必要な行為は、全て特許権の効力が及ばない事項とする。また、権利消尽原則はいったい国際消尽或いは国内消尽原則に基づくかはそもそも立法政策であって、裁判所が事実により認定するすべがないため、今回の改正で明確に国際消尽原則によることを明確にする。(改正条文第59条、第60条)

11.   無効審判関連規定を修正する:職権による審査制度を廃止する。無効審判請求できる事由を修正し、その請求事由は特許査定時の規定によることを明確に定める。ただ、分割、出願変更若しくは更正が出願時に掲示された範囲を超え、又は更正が公告時の特許請求範囲を実質的に拡大し若しくは変更するときは、当該事由はいずれも本質的な事項に属するため、特許査定時に無効審判請求事由で定めていなくても、やはり無効審判を請求することができる。また手続規定について、一部の請求項について請求することができること、無効審判の審査は職権により斟酌、合併審査、合併審決及び審決前に取り下げができるなどの規定を追加し、並びに職権により更正を通知する規定を削除する。(改正条文第73条、第75条、第77条及び第80~84条)

12.   特許実施の規定を修正する:「特許実施」という名称を「強制授権」に改めるとともに、請求事由、要件を含む関連規定を修正する。また、強制授権の処分を下すと同時に、補償金を算定する。(改正条文第89~91条)

13.   公共衛生課題の規定を新設する:WTOが開発途上国及び後発開発途上国(最貧国)に協力して、その国内の公共衛生危機を解決するのに必要な特許医薬品へのアクセスを容易にするために強制授権のもと、医薬品を生産することを可能にし、並びにこの場合において強制授権を請求することのできる適用対象を明確に定める。(改正条文第92条、第93条)

14.   特許権侵害関連規定を修正する:権利者民事救済請求権の性質からして損害賠償請求権および侵害排除防止請求権を明確に定める。損害賠償の請求は、権利侵害行為者主観的な故意又は過失があることを必要とする。合理的なロイヤリティーを損害賠償の計算方法とすることができるようにし、権利者の損害について法律上の合理的な補償の下限を設け、並びに適度に立証責任の負担を免除する。また、特許表示に関する規定の趣旨を明らかにするために、表示を付加しなかったものは損害賠償請求ができない規定を削除する。(改正条文第98~100条)

15.   実用新案制度:同一の者が同日に同じ考案についてそれぞれ発明特許及び実用新案登録出願をした場合、特許査定前に二者択一を通知する規定を新たに設ける。即ち、発明特許を選ぶ場合、その実用新案は初めから存在しなかったとし、実用新案を選ぶ場合、その発明について特許を付与しない。実用新案の修正が明らかに請求時の範囲を超える場合も特許を付与しない事由の一つとする規定を新設する。実用新案権者による権利行使の際の注意義務を修正する。実用新案は形式審査(方式審査)制をとるが、無効審判と合併審査するときは実質審査を行い、並びに合併査定をする。(改正条文第32条、第114条、第119条及び第120条)

16.   設計意匠制度:設計意匠について、部分設計、コンピュータ画面デザインといわれるアイコンとグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)、組物意匠の出願を認める。今回の改正を機に、類似意匠(連合新式様専利)制度を廃止する代わりに、関連意匠(派生設計専利)制度を導入する。(改正条文第123条、第129条、第131条)

2009.12

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