「二次公開放送」、「広告音楽」及び「著作権仲介団体」関連法案 立法院を通過

J100112Y3 2010年2月号(J126)

 「著作権法の一部を改正する案」及び「著作権仲介団体条例改正案」は先日、立法院を通過した。

 旅館、レストラン、デパート、コンビニ、観光バスなどといった営業場所でのテレビ、ラジオの番組放送はよく見られる著作物の利用行為であり、事前に放送する内容を知ることやコントロールすることができないから、利用を許諾してもらうことが難しく、随時に刑事訴追を受けるリスクにさらされている。このほか、広告で使われた音楽は広告製作会社が選ぶもので、ラジオ放送局やテレビ局が決めることではないため、コマーシャルを放送する都度に、個別の権利者から著作権侵害と訴えられるケースが少なくない。

 このような問題を解決するため、今回の著作権法改正で、第37条第6項第2号、第3号及び第4号を新たに設けて、集中管理団体に加入していない権利者による個別の権利行使について、営業場所で著作物を公開放送する二次的利用行為、及び個別の権利者が著作物を広告に複製することを許諾した後の公開放送又は同時的公開伝達の行為に関する利用者の刑事責任を免除する。上記利用者は個別権利者からの刑事訴追を受けることを心配せずに済むが、依然として使用報酬を支払う義務がある。支払わないときは、権利侵害についての民事責任が免れない。

 「著作権仲介団体条例」改正案のポイントは、「共同使用報酬率(使用料率)」及び「窓口の一元化(単一窓口)」制度の導入である。現在、台湾では七つの仲介団体があり、かつ同種類の著作物の仲介団体は一つだけではないから、利用者は同時に複数の団体と著作物の利用許諾をめぐる交渉を行わうことがよくあり、団体がそれぞれ利用者から使用料を徴収することも不便である。利用許諾をめぐる交渉の簡略化を図るため、今回の改正で、複数の団体は著作権所管庁が指定する利用態様に関して「共同使用料率」を定める義務があり、またそのうちの一つの団体が利用者から徴収しなければならない。指定される可能性のある利用態様は、旅館、美容室等公開場所における二次的利用行為、カラオケ及び伴奏機器の利用などといった著作物の大量利用。共同使用料率の策定は複数の団体の合意を得るには手間がかかるから、二年間の経過期間を置く。

 使用料の徴収基準及び共同使用料率の各団体への分配を客観的かつ合理的にするため、知的財産局は各仲介団体が管理する著作物が実際、市場での利用状況について実態調査を行う(第3条及び第30条)。

 著作権仲介団体条例のその他の改正ポイントは次のとおりである。
1.「著作権仲介団体」を「著作権集中管理団体」に改める。
2.使用料率審議制度の変革(第24条~第26条)。
(1)集中管理団体と利用者の使用料率をめぐる協議の自主性を尊重するため、使用料率の事前審議制を事後審議制に改め、紛争があるときにはじめて主務官庁が介入して決定する。
(2)「一曲料金」の費用徴収モデルを新たに設ける。利用者が年金制で使用料を算定するほか、実際に使用する数で料金を計算する方法を選択することも可能である。
(3)「使用料の仮支払」制度を新たに設ける
3.集中管理団体と利用者間の緊張関係を適度に和らぐ。
(1)集中管理団体が使用料率を定めていない場合、利用者の利用行為は刑事責任を免除される(第24条第7項)。
(2)利用者が料率審議期間中に使用料の仮支払をした後、即刻著作物を利用をすることができ、民事・刑事責任を負わない(第26条第4項)。
(3)利用者が集中管理団体が定めた費用徴収基準に従い、又は団体側が求める料金を支払った後、利用許諾を受けたとみなす(第34条第2項)。

著作権法第37条、第81条、第82条の新旧条文対照表

改正条文

現行条文

第37条 著作財産権者は他人に対し、その著作物の利用を許諾することができ、利用の許諾に係る地域、期間、内容、利用方法又はその他の事項は当事者の約定による。その約定が不明な部分については、未許諾と推定する。
2 前項の許諾は、著作権者が後にその著作財産権を譲渡し又は再許諾することにより影響を受けない。
3 非専属許諾における被許諾者(ライセンシー)が著作財産権者の承諾を得ないで、その授与された権利をさらに第三者の利用に許諾することができない。
4 専属許諾における被許諾者はその許諾された範囲内において、著作財産権者の地位をもって権利を行使し、また自己の名義をもって訴訟上の行為をすることができる。著作財産権者は、専属許諾の範囲内での権利行使ができない。
5 第2項から前項(第4項)までの規定は、中華民国90年(2001年)11月12日付け本法改正施行以前に為された許諾については、適用しない。
 次の場合のいずれに該当するときは、第七章の規定を適用しない。但し、著作物が著作権集中管理団体の管理下におかれた場合は、この限りでない。
一.音楽著作物が、利用許諾のもとでカラオケ装置に複製された場合、利用者はそのカラオケ装置を利用して当該著作物を公開に実演する場合。
二.最初に放送された著作物を再公開放送する場合。
三.スピーカー又はその他の設備をもって最初に放送された音声又は映像を公衆に伝達する場合。
四.著作物が利用許諾を経て広告に複製された後、広告放送者は当該広告を公開放送し又は同時に公開伝送して、公衆に伝達する場合。
第37条 著作財産権者は他人に対し、その著作物の利用を許諾することができ、利用の許諾に係る地域、期間、内容、利用方法又はその他の事項は当事者の約定による。その約定が不明な部分については、未許諾と推定する。
2 前項の許諾は、著作権者が後にその著作財産権を譲渡し又は再許諾することにより影響を受けない。
3 非専属許諾における被許諾者(ライセンシー)が著作財産権者の承諾を得ないで、その授与された権利をさらに第三者の利用に許諾することができない。
4 専属許諾における被許諾者はその許諾された範囲内において、著作財産権者の地位をもって権利を行使し、また自己の名義をもって訴訟上の行為をすることができる。著作財産権者は、専属許諾の範囲内での権利行使ができない。
5 第2項から前項(第4項)までの規定は、中華民国90年(2001年)11月12日付け本法改正施行以前に為された許諾については、適用しない。
6 音楽著作物は、利用許諾のもとでカラオケ装置に複製された場合、利用者はそのカラオケ装置を利用して当該著作物を公開に実演するときには、第七章の規定を適用しない。但し、音楽著作物が著作権仲介団体の管理下におかれた場合は、この限りでない。
第五章 著作権集中管理団体並びに著作権の審議及び調停委員会  第五章 著作権仲介団体並びに著作権の審議及び調停委員会
第81条 著作財産権者は権利の行使、使用料の受取り及び分配のために、著作権所管庁の許可を経て著作権集中管理団体を結成することができる。
2 専属利用許諾における被許諾者(利用権者)も著作権集中管理団体に加入することができる。
3 第1項の団体の設立許可、組織構成、職権及びその監督、輔導は、別途法律をもってこれを定める。
第81条 著作財産権者は権利の行使、使用料の受取り及び分配のために、著作権所管庁の許可を経て著作権仲介団体を結成することができる。
2 専属利用許諾における被許諾者(利用権者)も著作権仲介団体に加入することができる。
3 第1項の団体の設立許可、組織構成、職権及びその監督、輔導は、別途法律をもってこれを定める。
第82条 著作権所管庁は、著作権の審議及び調停にあたる委員会を設置して、次に掲げる事項を処理させなければならない。
一. 第47条第4項に定める使用料率について審議すること。
二. 著作権集中管理団体と利用者間の使用料をめぐる紛争の調停をすること。
三. 著作権又は出版権をめぐる紛争の調停をすること。
四. その他著作権の審議及び調停についての諮問に応じること。
2 第1項第3号に定める紛争の調停が刑事に関わるものであるときは、親告罪の事件に限る。
第82条 著作権所管庁は、著作権の審議及び調停にあたる委員会を設置して、次に掲げる事項を処理させなければならない。
一. 第47条第4項に定める使用料率について審議すること。
二. 著作権仲介団体と利用者間の使用料をめぐる紛争の調停をすること。
三. 著作権又は出版権をめぐる紛争の調停をすること。
四. その他著作権の審議及び調停についての諮問に応じること。
2 第1項第3号に定める紛争の調停が刑事に関わるものであるときは、親告罪の事件に限る。

2010.01
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