金融機関合併 従業員全員が存続会社に引き継がれる ドイツ法「売買は雇用を破らず」原則を導入

J100111Y5・J100112Y5 2010年2月号(J126)

 労働者委員会(厚生労働省に相当)は労働者の権利を保障するため、労働者基準法第20条を改正する方向で検討していることが明らかになった。また、改正案にドイツ法の「売買は雇用を破らず」という原則を導入し、事業者が合併、分割、包括的承継又は譲渡をする場合、労働者の同意を得ない限り、原労働契約は依然に有効である。即ち、労働者は退職に同意しない、或いは労働契約の変更を受けなければ、新しい事業主は労働者を解雇することも、労働条件を変更することもできない。金融機関に合併、事業分割があるときは、従業員は全員存続会社(新会社)に引き継がれることになる。

 今回は25年ぶりの大改正で、同委員会が公告した改正案によると、四つのポイントに整理することができる。1.派遣労働の規定の新設。2.定期契約期限の緩和。3.競業禁止条項、違約金及び最短勤務年限関連規定の新設。4.会社合併・譲渡の従業員の権利確保。改正案は2月に行政院に提出へ。同委員会は同時に企業合併買収法に関して、同法における適用範囲内の合併・分割の従業員の権利確保を労働基準法に照らし合わせるよう提言した。

 「金融機構合併法」第19条により、会社の合併買収における従業員の権益は労働基準法の関連規定を準用するとあるので、労働基準法第20条の改正は銀行、保険会社及び金融関連事業に影響が及ぶ。金融監督管理委員会(金融庁に相当)は同条の改正は金融事業の合併のコストを増やし、金融産業の統合及び破たん金融機関の淘汰に不利なので、同案に反対する立場を明確に表明。金融機関の合併において、同委員会は現行企業合併買収法の規定を準用する考えを示し、金融機構合併法改正案に会社が合併のときに留任したくない、又は留任しない社員に退職金又は解雇手当の支給に関する規定を盛り込むべきという。

 労使は別途約定があるときは、その約束による。また労働者が新会社への異動に拒否するときはその意向に従う(改正条文第20条第1項)。この場合においても、使用者は退職金を支給しなければならない(改正条文第20条第4項)。また、労働者に「仕事探し休暇」を認めなければならない。つまり、労働者が新しい仕事を探すために、勤務時間中に休暇をとって外出することができる(改正条文第20条第5項)。

労働基準法改正案における企業合併買収時の従業員留任に関する規定

現行条文第20条

改正条文

会社が組織改編又は譲渡するときに、新旧事業主が留任する労働者について協議するほか、その他の労働者は第16条により期間を定めて契約を終止し、並びに第17条により解雇手当を支給する。・・・ 会社が全部又は主な事業又は財産について合併、分割、包括的承継、譲渡をするときに、労働契約は譲受人にとって継続して存在する。・・・
 ・・・新旧事業主は前項譲渡基準日又は譲渡の効力が発生する日の30日前に、書面をもって新会社への異動に同意するかどうか労働者の意向を尋ねなければならず、労働者が事業主にその意向を伝えない場合は異動に同意するとみなす。・・・
適用原則:金融業は金融機構合併法によりこの規定を適用する 適用原則:売買は雇用を破らず

(2010.01)
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