労働基準法改正案、製造業の派遣労働者雇用 労働組合の同意が必要かつ従業員総数の10%を上限 警備員や医療事務に派遣労働者の起用も禁止

J100111Y5・J100109Y5 2010年2月号(J126)

 労働者委員会がこの間提出した労働基準法改正案で派遣労働者の適用範囲及び制限を明確に規定している。製造業が派遣労働者を受け入れるときは、その人数は従業員総数の10%を超えてはならず、かつ労働組合又は労使会議(労働組合がない場合)の同意が必要である。もし、その会社の労働組合に半数以上の従業員が加入し、かつ団体協約の約定を経たときは、派遣労働者の割合は更に30%に引き上げることができる(新設条文の第9条の1)。

 同委員会は更にネガティブリストで派遣労働者の起用を禁止する業種:医療関係者、警備員、航空保安警備員、船員、交通機関の運転手、鉱業従業員及びその他中央主務官庁が指定する者、を定める。

 改正案では、派遣先企業は雇主として、セクハラ対策や男女社員の差別的な取り扱い、安全衛生条件、就業上の不利益な待遇などについて、派遣労働者に責任を負う。また、派遣会社は派遣労働者に賃金を払わないことがあれば、派遣先企業は賃金を支給する責任を負うが、派遣会社に賠償請求をすることができる。

 最も重要なのは、もし派遣労働者に労災が発生した場合、派遣労働者は派遣会社或いは派遣先企業のいずれかに賠償を請求することができ、そしてもう一方は連帯賠償責任を負う(新設条文第9条の2)。

 また派遣労働者の管理上の利便性を考慮して、派遣会社は労働者の勤務表を提供すること及び記載すべき事項を明確に定めている(新設条文第9条の4)。労働市場における派遣労働者の実態を把握するため、派遣会社は毎年1月、7月に各地自治体労工局(「労工」:労働者の意)に派遣関連資料を申し出なければならない。これに従わない場合、新台湾ドル2万元以上20万元以下の過料を科す(新設条文第74条の1第4項)。

 このほか、ハイテク業界の慣行になっている「競業禁止条項」についても、四つの原則を打ち出している。これに反すれば、会社は従業員と競業禁止条約を締結することができない。たとえ結んだとしても無効になる。例えば競業禁止期間は2年を超えてはならない。懲罰的違約金条項も違法になる。

 改正案は今まで裁判所で示された司法判断に基づいて、四原則の遵守を求めている。1.労働者が仕事上営業秘密を知りうること。2.競業禁止条項は雇主の正当な営業利益を十分に保護すること。3.条項で規定する期間、区域、職業活動の範囲は、労働者の生存に不利益を与えず、また合理的な範囲を踰越しない。4.労働者が競業禁止条項で約束した行為を行わないことにより受ける損害について合理的な補償をする必要がある。

 事業主が最短勤務年限が満了する前に退職することを理由に、労働者に対する違約金及び損害賠償請求を回避するため、「最短勤務年限」の約束は、以下の二つの条件に限って認める。1.事業主は労働者に対し専門的技術訓練を行い、かつ費用を負担すること。2.労働者が持っている専門的技術や知識は仕事を全うするのに必要とされること。

 労使紛争を避けるため、改正案では懲罰的違約金条項を事業主が定めることを禁じ、労働者が「予定損害賠償」以外の違約金を背負わないようにする。したがって、労働者が最短勤務年限満了前に、その責めに帰せざる事由により退職しても、違約金を賠償する責任を負わない。

労働基準法新設条文(草案)

項目

内容

ポイント

派遣

受け入れ禁止業種 1. 医療関係者
2. 警備員
3. 航空保安警備員
4. 船員
5. 交通機関の運転手
6. 鉱業従業員
7.その他中央主務官庁が指定する仕事(第9条の1第3項)
派遣労働者人数の上限 会社の従業員数の10%を超えてはならない。労働組合が結んだ団体協約は別途約定があるときは最多で30%(第9条の1第1項)
労働期間の延長 1年を超える。契約期間満了後、労務を引き続き提供し、かつ書面をもって労働契約を成立する意思を表示する場合、派遣先は通知を受けた三日以内に書面をもって反対を表明しなかったとき(第9条の4第2項)
条件付きの定期契約 原則として派遣会社は不定期契約を結ぶ(第9条)
派遣先企業の事業主への義務付け 派遣先企業は派遣労働者に対し差別的取扱い、衛生安全等責任を負う(第9条の2)
記載事項 派遣会社は派遣労働者に勤務表を提供し、派遣先での勤務に関する事項を記載しなければならない(第9条の4第1項)
競業禁止条項 遵守すべき四原則 1. 約定が事業主の正当な営業利益を十分に保護する
2. 事業主の営業秘密を知り得る
3. 禁止される期間、地域、職業活動の範囲、就業対象は合理的な範囲を踰越しない
4. 労働者に一定の補償をすることが必要(第18条の3)
最短勤務年限の制限 最短勤務期間規定の禁止 1. 労働者が仕事を全うするのに必要とされる専門的な技術と知識を持っている
2. 事業主が費用を負担して労働者に専門訓練を受けさせる(第18条の2)
懲罰的違約金の禁止 労働者の経済生活への悪影響を回避 労働契約を履行しないときの懲罰的違約金を事業主が定めることを禁止する(18条の1)

2010.01

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