ディスカバリーチャンネル番組の海賊版製造工場を立入り捜査　正規版価格の一割程度で販売　被害総額２億元超、事情知らぬ教育現場でも利用

　世界175カ国、35言語で配信されている世界最大のドキュメンタリー専門チャンネル、ディスカバリーからの通報で、権利者による利用許諾を得ていない映像・音楽CDやDVD（映画著作物）が正規品価格（市場価格一枚につき新台湾ドル450元）の一割程度で（違法コピー品は30元~90元）、長年にわたって台湾市場に出回り、各地量販店、書店、レコード販売店で販売され、被害額は１億を超えるという。

　これを受けて台北県警察局は調査を進めたところ、容疑者Aはあたかも権利者の許諾を受けたかのようにライセンス文書を偽造し、ディスクプレス工場と手を組んで、著作権者の許諾を受けていない著作物を大量にコピーし、さらに正規品のようにきれいに包装したうえで、取次業者を通じて台湾各地に販売した。事情を知らぬ消費者は格安のお買い得品だと思い、購入したし、また容疑者がちゃんとディスカバリーチャンネルの番組シリーズを公に放送する権利を取得したと偽り、学校に売り込んで莫大な利益を得ていた。

　警察が専門チームを設置し、長期にわたって捜査した結果、ディスカバリーチャンネルは2004年9月に容疑者会社Yとの間に結んだライセンス契約を終了したにもかかわらず、容疑者会社の責任者は共犯らとほかに複数の会社を設立して、415枚のマスターテープをあるCD/DVDプレス工場に提供して大量に複製させ、各地に売り渡したことが判明した。

　警察側は2月2日に当該ディスクプレス工場を捜索し、不正コピーに使われたマスターテープ、DVD完成品6千枚余及び納品伝票等関連出荷書類を押収した。同日、さらにある取次業者に家宅捜索を行ったところ、1万枚余のDVD、カタログ及び取引書類を押収するとともに、責任者を任意同行させた。その供述によると、この半年間だけで百万枚近くのDVDを複製し、四年間でどれぐらいのDVDが違法にコピーされたか、本当に驚きである。専門チームはさらに証拠資料に基づいて、2月4日に容疑者の川上サプライヤー、倉庫、包装工場を捜索した結果、今度は36万枚余のDVDを押収した。容疑者Aが手掛けた海賊版製造販売事業は分業が複雑で、警察は2月4日の夜9時過ぎに、容疑者Aの会社を捜索したところ、更に22万枚余のDVDを押収した。この事件で今まで押収したディスクは百万枚近く（マスターテープ、ブランクディスク、DVDセット等）で、市場価格にすると、新台湾ドル2億6,100万元余にものぼる。事件を解決した台北県警察当局はこれだけ大量に違法コピーされたDVDの市場への横流しを成功に食い止め、被害者の経済的損失をできるだけ減らした。容疑者らは文書偽造、著作権法・商標法違反で台湾板橋地方検察署に書類送検した。

　今回の警察の行動は政府が模倣品・海賊版を撲滅する決意を国内の犯罪者に示すだけでなく、国際社会にもわが国の知的財産権保護への積極的な取り組み
をアピールしている。（2010.02）