孤児著作物、法により利用許諾申請かつ使用料支払った上で利用が可能

J100208Y3 2010年3月号(J127)

 「文化創意産業発展法案」は2010年1月7日に立法院で可決、成立した。同法案第24条は著作権者不明の孤児著作物について、利用者が文化的なアイディア商品を作るために、全ての努力を尽くしてでも、既に公表された著作物について著作財産権者の身元又はその所在が不明なため、利用許諾を受けることができない場合、著作権所管庁に対し許諾を得られない原因を疎明し、かつ著作権所管庁による再確認を経て、利用許可を受け、並びに使用料を供託したときは、許可された範囲内において当該著作物を利用することができる、と定めている。著作物の利用及び文化創意産業の発展を促進するため、この規定は年代が古い、又はその他の原因により著作財産権者が不明又はその所在が不明な特別な状況において利用者に著作物を合法的に利用する方法を提供する。
 
 然しながら、立法の過程において全く問題がないわけではない。利用者が全ての努力を尽くして著作権者を探したことをどう証明するか、そして知的財産局が利用許可をするときにその使用料をどう決めるか、が議論された。
 一.「全ての努力を尽くした」をどう判断するか?
 次に外国の立法例を参考にみてみよう。カナダの場合は、その著作権委員会が利用者に著作権者探しの方法を指導する。まずは著作権集中処理団体から着手し、次はインターネット、出版社、図書館、博物館及び教育機関等を通して探す。日本は文化庁が公告した「著作物利用裁定申請ガイドライン」により、「著作権者の氏名を知っている」と「著作権者の氏名を知らない」場合の著作権者捜索方法が異なる。このほか、利用者は社団法人著作権情報センターの著作権者探し窓口に捜索広告を30日以上の期間継続して掲載することが義務付けられ当ている。韓国の場合はその総統令で定めた「相当な努力」の認定基準により利用者が著作財産権者の氏名又は名称、住所・居所等関連情報を著作権信託管理業者に送り、当該管理業者が書簡で所在を把握することができないと回答してきた場合、又は送付して1ヶ月以上経ったにもかかわらず、回答が得られず、かつ全国発行の新聞紙又は文化観光部情報通信網で10日以上公告した場合、相当な努力を尽くしたと認定される。
 二.「使用料」をどう決めるか?
 使用料について、著作物の種類及び利用態様に関わるので、統一した基準を策定することが難しいので、個別案件ごとに事実にマッチした判断結果を出すべきである。まず申請者は知的財産局に使用料の計算方法を説明する。例えば、市場で同種類の著作物が利用されている場合に支払う使用料の額、著作物を利用しようとする範囲、利用者がその文化的なアイディア商品について取引をするときに予め受け取ろうとする対価、著作物を利用しようとする回数、期間、利用しようとする著作物が申請者が作る文化的なアイディア商品に占める割合、申請者が作る文化的なアイディア商品について他の著作権者に支払った使用料等。このほか、知的財産局は国内の各著作権者団体及び関連利用者に照会し、必要なときに著作権審議及び調停委員会の意見を諮問し、これら関連団体の意見をまとめたうえで、具体的な個別案件においてベストな判断をする。

 カナダは1990年以来、2007年1月末に至るまで、192件の許諾がなされている。日本は「著作権者が不明等の場合の裁定制度」を実施以来、昭和1972年に同制度を最初に適用してから2009年まであわせて46件の実績がある。実務上、今まで孤児著作物をめぐる著作権侵害の問題が発生していない背景には、周到な法制度と関連措置が取られていると考えられる。知的財産局によると、孤児著作物の利用許諾をめぐる制度を導入するには諸外国の立法例及び経験を参考に、利用者側が相当な努力を払っても権利者と連絡することができない場合においてのみ、この制度を適用することができるように定める。(2010.02)

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