トレードドレス模倣行為 公平取引法20条で禁止 台湾公取委と知的財産局 削除かどうかをめぐり賛否両論

J100310Y4 2010年4月号(J128)

 市場の多様化につれて、著名商標又は表示を模倣する不正競争行為がよく見かけるようになった。例えば自動車修理工場が使用許諾を受けないで車両の商標を掛けることや、有名ブランドがその本来の商品と無関係な商品に使われること(「シャネル」カラオケ)、飲食店チェーンに類似する名称やインテリア、エクステリアで店舗を展開することなど。これらの行為はわざと権利者の知名度及び商業上の信用に便乗(ただ乗り)し、不正競争に該当するかどうか?このような場合においては、権利者は商標法と公平取引法のどちらに基づいて救済を求めるべきか?最近、公平取引委員会(日本の公取委に相当。以下、「公平会」)は公平取引法第20条を削除する立場を表明した。これを受けて、知的財産局は同規定の削除により権利者が公平取引法に基づく救済を求める機会を失うことになるとして、今年2月9日、公平会及び専門家・有識者を招いて協議会を開いた結果、多くの参加者が同条の保留を支持する見解を示している。

 商標権は原則として登録されなければ保護しないので、未登録著名商標に対しては、公平会が1991年に日本の「不正競争防止法」を参考に、公平取引法第20条で明文で保護を与えることによって、当時商業上の模倣による公正競争妨害行為を規制してきた。ただ公平取引法第20条第1項第1号、第2号の文言には登録済みと未登録の著名商標が含まれ、また同条に違反する効果は商標法より高いので、これを削除しなければ、行為者が負う法律責任と商標法における権利侵害責任は明らかにアンバランスである。このため、実務上同条を適用するときは保守的になりがちである。一方、商標法からして、損害賠償金額の計算は比較的明確的で、執行しやすいが、市場における各種不正競争行為を全てカバーすることができず、様々な表示又は市場における各種不正競争行為に関する商標法及び公平取引法の適用の不明確さで、十分な保護を受けられないという疑問が権利者から投げかけられている。

 協議会に参加した専門家や学識者たちは、「公平取引法が規制する不正競争行為については、事業競争面の考慮があり、商標法の保護目的と異なり、競合の観点から両法の規制の重複をなるべく避けるべきである。但し、公平取引法第20条が保護する表示は相当程度商標法における未登録商標への保護の不十分を補うことができるため、要件を適度に調整し、並びに行政罰及び刑事罰を撤廃すればよい(即ち、民事責任だけを追及)」と同規定を保留すべきとの意見が大勢だ。

 しかし一方では、公平会によれば、商標法の商標に対する定義の拡大に伴い、表示と商標の境は段々と薄くなり、登録済み又は未登録の著名商標又は表示の模倣はいずれも不正競争に属し、原則としてどれも保護を与えるべきだが、その保護は調和的でなければならない。

 商標法改正案は3月4日に行政院の審査に送られたが、その案には未登録著名商標への保護に関する内容が盛り込まれていない。それは公平取引法と商標法は今までどおりに一般規定と特別規定の関係を維持することを望むからだ。商標法に明確な規定がある場合は商標法を優先的に適用し、商標法に規定のない場合は公平取引法の規定が補充的に適用される。また不正競争行為者に一定の責任を課することによって、市場競争秩序を回復させ、そして商標法に基づく救済を求めることのできない権利者に権利救済の機会を与える。(2010.03)

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