権利侵害鑑定報告添付せず 第三者への告知ないし公表 公取委:著しく公平さを欠く行為 重く罰する

J100302Y4・J100212Y4 2010年4月号(J128)

 権利侵害を確認する先行手続を実行せず、弁護士書簡で第三者に告知することで、不正競争をきたし、取引秩序に影響する著しく公平さを欠く行為に対し、公平交易法(公平取引法)第24条に違反するとして台湾公平交易委員会(日本の公取委に相当。以下、「公平会」)から処分される事例が公表された。
 
 特許権者(被処分者)はその享有する特定の特許権の明確な内容、範囲又は侵害された具体的な事実を掲示せず、かつ特許権侵害鑑定報告を添付しないまま、弁護士に依頼して本件告発者がその特許権を侵害した旨の内容証明を本件告発者と第三者の「台北市政府メトロ工程局」宛に送った。その行為により第三者がその請負業者と取引を断絶し、ひいてはその請負業者が本件告発者(請負業者のサプライヤー)とも取引を断絶するおそれがあるため、被処分者が為したことは、商業競争倫理上非難されるべきであり、十分に取引秩序に影響する著しく公平さを欠く行為として、公平取引法第24条で禁止する対象に該当する。

 「公平会」は、①本件告発者の取引相手方は被処分者の係争内容証明送付行為により告発者と取引を断絶しておらず、②取引秩序に対する影響も軽微で、かつ③被処分者の違法行為の動機、目的及び予期する不当な利益、④違法行為の取引秩序に対する影響の程度、⑤違法行為による取引秩序への損害の期間、⑥違法行為により得た利益、⑦事業の規模、経営状況、営業収入及びその市場地位、⑧違法行為の類型はかつて中央主務官庁から是正の指導又は警告を受けたことがあるか、⑨今までの違法行為の類型、回数、時間間隔及びその受けた処罰、⑩違法した後の態度及び調査に協力的かどうか、⑪非難されるべき程度及び資力等を参酌して、公平取引法第41条前段規定により、当該特許権者に前項違法行為の停止を命じた。

 台湾に本社を持つ世界最大のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業である鴻海精密工業(HON HAI Precision Industry; ホン・ハイ・プレシジョン・インダストリー)」
は、かつて証券取引所の「公開情報観測エリア」で連続してライバル会社の商業上の信用を毀損、中傷するに足りる文字を陳述したり流布したりしていたため、公平会から公平取引法第24条違反を理由(欺もう及び著しく公平さを欠く行為)にこういった事件で最高額の過料処分を受けている。(2010.03)

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