「知的財産権保護のための裁判所における裁判機能強化に関する方案」の宣伝普及

J100311Y9・J100305Y9 2010年4月号(J128)

 知的財産訴訟に関する新制度が2008年7月1日から実施し、台湾高等裁判所が知的財産権保護において果たす機能、役割の変化にあわせて、司法院は3月5日、「知的財産権保護のための裁判所における裁判機能強化に関する方案」を提出するとともに、1982年に定めた「国家の経済発展の確保のための台湾高等裁判所及び所属裁判所における商標侵害等犯罪防止に向けた裁判機能強化」の適用を停止することとなった。本方案のポイントは次のとおりである。
一.本方案においていう知的財産案件は、知的財産法院組織法(法院は「裁判所」の意)、知的財産案件審理法及び知的財産案件審理細則等関連法規で定義する知的財産関係の民事訴訟事件、刑事訴訟事件及び行政訴訟事件をいい、その範囲は次のとおりである。
(一)知的財産関係民事訴訟事件:
1.専利法(特許法、実用新案法、意匠法三法に相当)、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法又は公平取引法で保護する知的財産権から生じる民事訴訟事件。
2.知的財産権の権利を不当に行使することにより生じた民事訴訟事件。
3.当事者が一つの訴えを以って単一又は複数の訴訟目的を主張し、そのうち主要な部分は知的財産権に関わり、かつ同一の原因事実に基づき、それを分割するのが不適切なもの。
(二)知的財産関係刑事訴訟事件:刑法第253条から第255条、第317条、第318条の罪による、又は商標法、著作権法、公平取引法第35条第1項が関する第20条第1項及び第36条が関する第19条第5号に違反する刑事事件及びその付帯民事訴訟事件。
(三)知的財産関係行政訴訟事件:
1.専利法(特許法、実用新案法、意匠法三法に相当)、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、集積回路回路配置保護法、植物品種及び種苗法又は公平取引法が関わる知的財産権から生じる行政訴訟事件及び強制執行事件。
2.知的財産権を不当に行使して、公正な競争を妨害することにより生じる行政訴訟事件。
3.税関が税関密輸取締条例第39条の1に基づき貨物の輸出入の申告者による知的財産権目的物侵害に対する行政処分について提起した行政訴訟事件。
二.知的財産案件の取扱いに当たり、裁判所は各訴訟法所定の手続を確実に遵守し、また知的財産案件審理法、知的財産案件審理法執行細則、知的財産案件審理細則、知的財産案件における遠距離尋問作業実施要領、秘密保持命令作業要点及びその他の関連規定により行わなければならない。
三.地方裁判所が知的財産案件を取扱うときは、知的財産関連法令の規定により、専門法廷を設置し又は二人以上の担当者のいる専門係を指定して行わせる。但し、裁判官の現有の定員が30人未満の場合は、この限りでない。
四.裁判所が知的財産関係の刑事案件を取扱うときは、刑法第57条各号に掲げる量刑基準及び知的財産案件量刑参考要点を参酌し、刑の量定を適切に行わなければならない。
五.知的財産関係第一審民事事件の取扱いに当たって、訴訟遅延を避けるため、案件の性質により、必要なときに知的財産案件処理細則第30条第2項により審理計画を定め、集中審理を行わなければならない。
前項民事事件において知的財産権の有効性をめぐり争うときは、裁判所は知的財産案件審理法第16条第1項により、当事者の主張又は抗弁に理由があるか無いかについて自ら判断しなければならない。必要なときには、知的財産案件審理細則第11条及び第12条により、技術上の争点の調査について技術審査官に協力してもらい、又は鑑定人に鑑定を委託する。
六.裁判所が知的財産に関する証拠保全及び保全手続の案件を取扱うときは、慎重に審理し、法により裁定し(決定)、迅速に執行を行う。
七.知的財産裁判所が知的財産関係行政訴訟事件を取り扱うときは、当事者が知的財産案件審理法第33条により提出した新しい証拠に注意が必要である。その新しい証拠の提出は訴訟の進捗状況をみて適当な時期に提出せず、意図的に訴訟を遅延させ、又は重大な過失によるものであるときは、行政訴訟法第132条が準用する民事訴訟法第196条第2項により、これを却下することができる。
八.知的財産案件の法律見解及び量刑基準に関する意見交換のため、司法院は知的財産裁判所に委託して法律座談会を開くことができる。
九.裁判所で受け付けた知的財産案件は、研究考察課が管制するものとする。
十.裁判所は随時に業務報告会議又は裁判官会議で、知的財産関連行政事項又は既に終結した知的財産案件について検討し、改善を進める。
十一.裁判所は毎年4月までに昨年度の知的財産案件の取扱状況について検討報告、並びに関連審理制度の改革等に関する提言を上級機関を通じて司法院に提出しなければならない。知的財産裁判所はこれらの報告や提案について総合的に分析、研究をしたうえで、毎年7月までにその結果を書面で司法院に提出するものとする。

 本方案は台湾の司法審判体系が知的財産権を保護する具体的な施策である。また、各界が新制度をより一層理解するため、司法院ウェブサイトには「業務宣伝――知的財産訴訟専門セクション」に質問と回答(Q&A)一覧、知的財産裁判所組織法及び知的財産案件審理法の中国語・英語・日本語・独語訳、そして新制度の実施以来、司法院が行ってきたセミナー、座談会及び業務統計情報等が掲載されている。さらに、知的財産専門裁判官の育成訓練と関連カリキュラム、及び知的財産案件の審理計画と審理モデル等については、司法院内部のウェブサイト「審判情報サービスエリア――知的財産訴訟専門セクション」が参考になる。(2010.03)

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