行政訴訟を三級二審制に 来年をめどに地裁に行政訴訟法廷を設置へ

J100311Y9 2010年4月号(J128)

 司法院は2011年をメドに各地方裁判所に行政訴訟法廷(専ら行政訴訟を審理する法廷)を設置することを発表した。司法院が作成したばかりの「行政訴訟法の一部を改正する案」によると、行政訴訟は三級二審制に改め、行政訴訟を取扱う地方裁判所行政訴訟法廷は即ち、行政訴訟法でいう行政裁判所にあたる。今後、行政訴訟で略式手続が適用される事件の第一審、保全手続事件、行政訴訟強制執行事件及び現在通常の裁判所で受け付けている道路交通管理処罰条例違反処分の救済事件は、地方裁判所行政訴訟法廷が審理することになる。国家賠償事件は関連法制が比較的複雑なため、新制度導入のスケジュールに影響しないように、とりあえず今回の改正案に盛り込まないことにした。

 簡易事件の手続については、地方裁判所行政訴訟法廷を第一審の管轄裁判所、高等行政裁判所を第二審の管轄裁判所とする。簡易訴訟手続は原則として口頭弁論を中心に進められ、また高等行政裁判所を終審とすることによる司法判断の不一致を避けるため、高等行政裁判所で司法判断の統一が必要であると認めるときは、裁定(決定)を以って最高行政裁判所の裁判に移送するものとする。このほか、今回の法改正で、上訴、抗告の要件を緩和し、現行の許可制から原裁判の法令違反を理由とする上訴、抗告ができるように改める。

 道路交通管理処罰条例違反事件の手続は、二審で終結し、地方裁判所行政訴訟法廷を第一審、高等行政裁判所を控訴審裁判所とする。この類の事件は口頭弁論を経ることなく判決することができる。起訴は事件数に応じて新台湾ドル(以下は同じ)500元、上訴(控訴)の場合は750元の裁判費用を徴収する。取消し訴訟(行政訴訟の一種)の提起は裁決書が送達された後、30日以内に地方裁判所行政訴訟法廷に起訴しなければならない。また、起訴前に訴願等前置き手続を経る必要がない。

 今回の法改正で、新たに「再審査」を取り入れ、被告(原処分機関)が起訴状の謄本を受け取った後、改めて審査をしなければならず、もし審査の結果で原裁決を違法又は不当と認めるときは、即時自ら原判決を取り消し又は変更しなければならない。被告(原処分機関)は原告の請求により処置しない場合、答弁書を添付して再審査の記録等書類を裁判所に提出しなければならない。

 保全手続について、仮差押の申立ては本案を管轄する行政裁判所又は仮差押の対象物(目的物)の所在地の地方裁判所行政裁判所が管轄する。仮処分の申立ては、時間的に差し迫った場合、例外として請求目的物の所在地の地方裁判所行政訴訟法廷が管轄する。一方、行政訴訟強制執行事件については、地方裁判所行政訴訟法廷が取扱うことになるが、同法廷は民事執行処又は行政機関に執行の代行を嘱託することができる。(2010.03)

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