改正行政訴訟法 5月1日から施行

J100424Y9・J100401Y9 2010年5月号(J129)

 行政訴訟法は2000年7月1日に施行以来、間もなく十年を迎える。この10年間の間に2007年と2010年1月、二度にわたって法改正を行っている。2010年1月(改正案は2009年12月22日に立法院を通過)に公布された改正条文は5月1日から施行する。今回の法改正は「より便利に」、「司法機能・効率の向上」をポイントに掲げ、同法施行以来最大幅の改正案(61か条修正、5か条新設、あわせて66か条を改正)となっている。

 裁判所の管轄に関し、台湾の訴訟制度は「司法二元制」をとっている。通常の裁判所がある一方、行政裁判所もある。但し、国民にとってどの裁判所に起訴すべきか、必ずしも分かっていない。2007年の法改正の際、案件を受け付けた行政裁判所は実は受理の権限がないと認めたときは、職権により裁定(決定)を以って案件を受理する権限のある裁判所に移送しなければならないと明確に定めている。そして今年1月13日に公布された改正法により、公務員保険、労働者保険、農民保険又は全民保険に関する訴訟の提起をより便利にするため、原告の住居所地又は被保険者の職場の所在地の行政裁判所に訴訟を起こすことができるようになった。そして公務員の任用、給与、退職等職務関係訴訟については、公務員職務所在地の行政裁判所が管轄する規定を新たに設ける。

 訴訟費用に関し、2007年の法改正で、訴訟提起後、当事者間に和解が成立した場合、又は第一審口頭弁論終結前に訴え、上訴又は抗告を取り下げた場合、訴訟費用の三分の二にあたる額の還付を申請することができるようにした。そして今回の改正法では更に、其の他の裁判所が事件を行政裁判所に移送した場合、移送前の訴訟費用は行政裁判所における訴訟費用の一部とみなし、未徴収、徴収不足又は余分に徴収した場合、行政裁判所は不足分を追徴し、又は余分徴収分を還付しなければならない、という内容を盛り込んだ。

 裁判所をより身近で便利に、並びに国民が訴訟をする権利を保障するため、改正法により、ファックス又は其の他の設備、例えば電子メールを利用して訴訟書類を伝送することができる。また、仕事や旅行に出かけたりするなど、何かの事由で訴訟文書の受け取りに遅れた場合、訴訟文書が郵便局又は警察機関に預けられた日から10日間を経過してはじめて送達の効力を生じる、と特別に規定する。行政訴訟法の送達に関連する規定は、訴願法においても準用するため、行政訴訟を起こすことも上訴することもよりいっそう権利が確保されることになる。このほか、簡易訴訟手続(略式手続)を適用する事件は、訴訟の目的額又は価額が新台湾ドル20万元以下から40万元以下に引き上げ、並びに損害賠償請求の要件を緩和し、損害を受けたことさえ証明すれば、たとえ具体的な被害額を証明することができず、又は証明するのに重大な困難がある場合であっても、裁判官は一切の状況を考慮して、心証を形成し、損害賠償額を算定しなければならない。

 さらに、司法院では行政訴訟法施行以来の三回目の改正案を検討している。これにより、行政訴訟制度は三級二審制に改め、また各地方裁判所に行政訴訟法廷を広く設置して、行政訴訟の提起にあたってより多くの選択肢を用意することで、「司法は民のためにある」という理念を実現する。(2010.04)

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