個人情報保護法改正、報道の自由とネット上の利用に配慮した内容に プライバシーや公益の定義があいまい 課題残る

J100428Y9・J100427Y9 2010年5月号(J129)

 先日、コンピュータが処理する個人情報の保護に関する法律の改正案が法令名を「個人情報保護法」に変更し、立法院を通過した。プライバシーを保護しながら報道の自由にも配慮した最終案は様々な課題を残したまま、新しい扉を開いた。改正法は個人情報の開示、検索及び更正などに対する自主的支配を強化するとともに、個人情報保護のグローバル化時代の到来を迎えるため、アジア太平洋経済協力機構が規定するプライバシー保護ポリシー、APEC プライバシー・フレームワーク(APEC Privacy Framework)に掲げられたプライバシーの損害、個人情報の収集制限、当事者への通知などの原則を取り入れている。

 改正案のポイントは次のとおり説明する。
1.保護客体と適用主体の拡大:同法が保護する客体を全ての個人情報に拡大し、また業種別の制限を撤廃して、あらゆる法人、団体及び個人による個人情報の収集・処理・利用を規制の対象とする。
2.プライバシー保護と報道自由のバランス:この法律は個人情報を保護するための基本法ではあるが、現代の民主国家として報道の自由をも尊重しなければならない。プライバシーと報道の自由の均衡性が取れるように、マスコミが時事報道をする公益目的での個人情報の収集は、当事者に通知する必要がない。このほか、公共利益に関連するもの、又は一般的なソースから入手した個人情報について、非公務機関でもそれを収集したり処理したりすることができる。
3.インターネットにおける個人情報の利用:Facebook(フェイスブック)やブログなどに他人と一緒にとった写真を掲載したりするなど、社会活動(社交上の活動)又は家庭生活の目的の範囲内であれば、改正法第51条第1項により本法の適用を排除し、民法に立ち返って適用する。公の場所或いは公開活動で収集・処理・利用した、他人の個人情報を取り込んでいない映像・音楽データも、利便性や他人と一緒に写真をとったことに関する共同利用目的からこの法律の適用対象外とする。同条が規定する社会活動又は家庭生活の目的の範囲内に属しない行為は、第19条と第20条による収集・処理・利用でなくてはならない。公共利益に関連するもの、又は一般的なソースから入手した個人情報ならば、本法の個人情報の収集又は処理に関する規定に合致する。
4.民事・刑事及び行政法上の罰則の強化:民事・刑事・行政上の罰則を調整し、同一事件における民事損害賠償の最高額を新台湾ドル2億元に引き上げる。被害者がその被害額を証明することができず、又は証明するのに困難がある場合、裁判所に対し侵害の状況を斟酌して、新台湾ドル500元以上2万元以下の範囲内で算定するよう求めることができる。また、当事者が救済を求めることを容易にするため、集団訴訟(団体訴訟)制度を導入する。刑事罰は主に営利目的の違法行為について、5年以下の懲役及び100万元以下の罰金の併科ができるようにするほか、非親告罪とする。行政罰については過料の最高額を引き上げる。
5.特殊な個人情報の収集制限等:医療、遺伝子、犯罪歴データ(前科)などの特殊な個人情報の収集・処理・利用は、法律が明確に規定する厳格な要件の下、自ら公開し又は既に合法に公開され、統計又は学術研究等の目的の場合に限って認める。このほか、個人情報を利用して初めてダイレクトマーケティングを行う時は、本法により当事者は受け入れを拒否する権利がある。業者は受け入れ拒否の意思表示をする方法と所要費用を提供しなければならない(例えばフリーダイヤル、料金受取人払の返信用封筒)。
 公共利益、一般的な情報入手ソース、著しくより保護するに値する重大な利益、公の場所や公共活動など、今回の改正案に定義がはっきりしない法律概念がたくさん盛り込まれている。法務部はこれについて、民間団体及び学識者、専門家を招いて検討したうえで、個人情報法施行細則で明確に定義するとしている。但し、実務上ある程度裁判官が個別案件について実際の情況によって判断しなければならなくなると思われ、判決と判例の蓄積を通じて法体系の安定化を図っていく。(2010.04)

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