特許審査体制の充実化 知的財産局組織条例改正案は国会の初審を通過

J100603Y1・J100530Y1 2010年6月号(J130)

 出願殺到による未済事件膨大化の解消や特許審査待ち時間の長期化などの解決策として、「知的財産局組織条例」第7条、第16条、第17条の改正案が63日の行政院会議で閣議決定された。この改正案が特許審査体制の充実化、未済事件の解消、審査時間の短縮につながると考えられる。このほか、立法院司法及び法制委員会でも170名の任期付特許審査官及び39名のアシスタント審査官(審査官補)の増員を盛り込んだ関連改正案の初審を終えたため、両案は並行して審議されることになる見通しである。

 次に行政院版改正案のポイントをまとめる。
1.特許審査事務の特殊性から素質の優れた理工系出身技術者の審査員配置が必要なため、今の編成定員を維持する前提でアシスタント特許審査官を増やす一方、事務員と書記の定員を30人減らす。
2.採用人員は第7条第1項所定編成定員の枠内で調整することと、20%の採用率の上限規制に関する規定を削除する。
3.知的財産局が起用する兼任特許審査委員の定員枠の規制緩和を行う。

 ほかには、8月から100名の研究開発「代替役」(台湾では徴兵制をとっている。軍務に服する代わりに、兵士を政府機関に配属し、大学や大学院での専攻と関連する公務に従事させる)を取り入れ、検索事務に従事させる。さらに知的財産権センターを設置し、年間手数料収入の約20%~30%に相当する額を特許基金として、任期付審査員の任期満了後、特許審査事務に従事する職員の採用費用に当てる。また特許審査の迅速化を図るため、特許審査における検索事務に協力する法人組織の外郭団体の設立も一つの選択肢であるという。

 人手不足のため、特許出願案件を終結するのに平均で36.8ヶ月かかり、日を追うごとに未済事件の山が増えるばかりで、今のところ既に14万件を超える。2010~2012年にあわせて101300件の案件を終結することができると推計されるが、毎年の新規出願が約4万件、3年間で12万件のペースで増える。このままでいくと、2012年の年末には審査時間は更に46ヶ月に長くなる。もし改正案が今会期に国会を通過すれば、2011年から既済事件は新受事件より多い状況に転じ、2013年から案件ごとの審査時間も36ヶ月から24ヶ月に短縮できるだろう。(2010.05

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