証券取引法改正 国際間の取引に向けた監視強化・相互協力促進がポイント

J100504Y8 2010年6月号(J130)

 国際間証券取引への監視能力強化、他国金融当局及び国際金融機関との協力促進、財務情報公告及び申告の即時性、インサイダー取引規制の完備を図り、並びに投資家の権利を保護するため、証券取引法の一部を改正する案が立法院を通過した。そのポイントは次のとおりである。

1. 証券監督者国際機構(IOSCO)のメンバーである規制当局間のエンフォースメントにおける協力・情報交換のための多国間覚書(MMOU、マルチ覚書ともいう)に基づき、主務官庁が関連機関、法人、団体及び自然人に対し、当該条約或いは協定により必要な情報を外国政府、機構若しくは国際組織に提供することと、証券取引に関連する機構、法人、団体若しくは自然人に対し、関連帳簿、文書を提示し、若しくは事務所まで出頭して説明することを求めることができるように定める。さらに、関連機構、法人、団体若しくは自然人が、主務官庁から関連資料の提供若しくは説明について要求があったときは、これを回避、妨害、拒否してはならない。規定に反する者は、第178条により行政罰に処されることがある。(改正条文第21条ノ1、第178条)
2. 情報開示の迅速化、年度財務報告申告・公告期限の短縮:情報開示期間を速めるため、年度財務報告の公告及び申告期限を修正して、上場企業・店頭企業が会計年度終了後3ヶ月以内に公告及び申告をすべきことを明確に定めるとともに、上場企業が財務報告の抄本を証券商同業公会(証券業業界団体)に送るべきことに関する規定を削除する。一方、店頭企業の財務報告については、公衆の閲覧のため主務官庁が指定する機関に抄本を送る必要があるように改める。また、年度財務報告の公告及び申告期限の短縮にあわせて、上場企業・店頭企業が財務報告作成作業の調整を行うための猶予期間を与える。即ち、上場企業・店頭企業が2011年度財務報告の公告及び申告をする時(2012年3月までに)に、前掲改正条文により取扱わなければならない。(改正条文第36条、第183条)
3. 主総会が定期に開催されない場合の効力の明文化:上場企業・店頭企業の株主総会は会計年度終了後6ヶ月以内に開催されなければならない。何らかの理由をつけて開催の延期を主張することができない。規定により開催しない場合、新台湾ドル24万元以上240万元以下の過料のほか、株主総会が開催されるまで回数に応じて新台湾ドル48万元以上480万元以下の過料を科することもできる。上場企業、店頭企業の取締役・監査役の任期が満了する年度に、取締役会が規定により株主総会を開催して取締役・監査役を改選しないときは、主務官庁は職権により期間を限定して開催させることができる。期限を超えても開催しない場合は、期限満了の時から取締役・監査役全員が当然解任となる。(改正条文第36条、第178条)
4. 投資家の権利確保のためのインサイダー取引規制強化:夜間に会社から重大な情報に関する発表があった場合、翌日の株式市場取引が始まる前に投資家がまだその情報を掴んでいない可能性があることから、重大な情報が確定するまで時間を延長する必要性に鑑みて、重大な情報が明確になるまでの時間を18時間に延長する。また、会社内部の人間は、会社が社債の本金及び利息を支払う困難があることを知り、損失回避のため、その情報が公開される前に、又は公開後18時間以内に株式でない社債を売却した場合、市場取引の公平性が害される。このため、非株式の社債をも規制行為の客体に加えいれ、また会社が社債の本金と利息を支払う能力に影響する重大な情報の範囲及びその公開方法等関連事項に関する規則を定める権限を主務官庁に授与する。従来の規定は・・・情報を「つかんだ」時に・・・とあったが、今回の改正で「実際に知悉した」に改め、また不明確さをなくすため、「その情報の確定後」という要件を、「・・・、未公開前又は公開後18時間以内に」の前に追加する。第157条第2項により非株式社債がインサイダー取引禁止の対象になったため、規定違反者に対する刑事罰を盛り込む。(改正条文第157条ノ1、第171条)
(2010.05)

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor