渉外民事法律適用法への知的財産権保護対象適用法の明文化

J100510Y9・J100430Y9 2010年6月号(J130)

 「渉外民事法律適用法」改正案が4月30日の立法院会議を通過したため、台湾国民が輸入品(正規品、並行輸入品を問わない)を購入、使用した後、損害が生じた場合、台湾の関連法律を適用することを主張して外国メーカーに損害賠償を求めることができる。

 また、今回の改正で新たに設けられた第42条は、「知的財産を目的物とする権利は、当該権利が保護されるべき地域の法律による。被用者が職務上完成した知的財産に関し、その権利の帰属は、その雇用契約が適用すべき法律による。」を規定し、外国の知的財産権が台湾で保護されるべきことを明確にしている。但し、日本のアダルトビデオ制作会社はこの間、台湾のケーブルテレビチャンネルで日本のアダルトビデオが無断で放送されていたのが著作権侵害として、損害賠償を請求してきたことについて、司法院関係者は、アダルトビデオはわいせつ物品であって、台湾では知的財産権を主張することができないとしたうえで、日本の一般の漫画ならば、知的財産権として台湾で保護されるとの見方を示した。

 知的財産権は、国内における登録完了を成立要件とするもの、例えば特許権や商標権、或いは登録を成立要件としないもの、例えば著作権や営業秘密などがある。そのいずれも法律規定により発生する権利であるため、各国の領域内において受けるべき保護は原則として各当該国の法律に準拠すべきである。知的財産権の種類、内容、存続期間、取得、喪失及び変更等は同一の法律によって定めるためには、知的財産を目的とする権利の成立及び効力は、権利を主張する者がその権利が保護されるべき地域の法律によらなければならない。当該法律は権利を主張する者の主張により決められ、必ずしも裁判所が所在する国の法律とは限らない。即ち、当事者がある国の法律により保護されるべき知的財産を享有することを主張するときは、当該国の法律によりその権利の有無を確かめるべきである。例えば、甲は乙がA国でその知的財産権を侵害したと主張したのに対し、乙は甲がA国でその権利を有しないと抗弁する場合、わが国裁判所はわが国の法律ではなく、A国の法律を適用してA国で保護すべきかどうか、そして如何に保護するかについて答えを引き出すことになる。もし、甲はわが国の法律により知的財産権を取得した場合、乙がA国で甲の権利を侵害した疑いがもたれた行為について、わが国裁判所はA国法により甲がA国で権利を有するかどうかを確かめなければならない。

 また今回の改正で新たに設けられた第14条、第15条は、外資系会社の台湾における内部事項に関する規定である。例えば、株主、取締役・監査役等の権利義務は、当該外資系会社の自国法を適用する。ただ、当該外資系会社が台湾の会社法により支社を設立した場合は、台湾の法律による。

 現行渉外民事法律適用法は1953年6月6日に施行されて以来、一度も改正されたことがない。国際情勢の変化、経済構造の転換に応じ、そして男女平等、子女保護原則を徹底するため、司法院は新設条文33か条、修正28か条、削除1か条、計63か条からなる改正案を提出した。権利主体、法律行為の態様及び代理、債権、物権、親族、相続、付則等々同法全般にわたるほどの大幅な改正となった。(2010.05/2010.04)

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