行政訴訟制度改革 来年三級二審制へ

J100831Y9・J100828Y9 2010年9月号(J133)

 行政訴訟法及びその施行法、行政裁判所組織法、知的財産案件審理法、知的財産裁判所組織法の一部を改正する案が8月26日の司法院会議を通過し、近く立法院に送られることになっている。

 現行行政訴訟制度は2000年7月1日より従来の一級一審制から二級二審制に改められ、台北、台中、高雄に高等行政裁判所を三か所設置したが、これらの地域以外の住民にとってやはり便利になったとは言えない。国民がより審理に参加しやすいようにするため、司法院は行政訴訟を三級二審制に改める方針を固め、制度の改正に備えて2011年に各地方裁判所に行政訴訟法廷を設け、簡易手続きが適用される行政訴訟事件の第一審及び行政事件に関連する保全手続き、証拠保全、強制執行を受理し、一方、通常の裁判所が扱う道路交通管理処罰条例違反事件の裁決については、行政訴訟手続きにより行うことにしている。

 上記法案のポイントはそれぞれ次のように整理する。
一.行政訴訟法
(一)三級二審へ:地方裁判所行政訴訟法廷は行政訴訟法にいう行政法院(裁判所)に該当する。簡易手続きが適用される行政訴訟事件、行政訴訟における強制執行事件及び現在通常の裁判所が扱っている交通裁決事件は全て地方裁判所行政訴訟法廷が審理を行うことになる。
(二)司法判断統一のため高等行政裁判所による簡易訴訟事件の最高行政裁判所への移送が可能:簡易手続きが適用される行政事件は地方裁判所行政訴訟法廷を第一審裁判所、高等行政裁判所を第二審裁判所とする。法律審と位置付けられるため、その判決への控訴、又はその裁定(日本では「決定」をいう)への抗告は原裁判の法令違反があった場合に限る。簡易訴訟は原則として口頭弁論によって行われる。また高等行政裁判所を終審とする場合、司法判断の不一致が生じるのを避けるため、裁判の見解を統一する必要があると認めるときは、高等行政裁判所は裁定をもって最高行政裁判所に事件を移送して審判を仰ぐことができる
(三)交通裁決事件の行政訴訟手続き適用。
 交通裁決事件は二審で終わる。地方裁判所行政訴訟法廷を第一審裁判所、高等行政裁判所を第二審裁判所とし、口頭弁論を行わなくてもよい。このほか、「再審査」という制度を新たに設け、被告機関は起訴状の謄本を受け取った後、再審査を行わなければならない。再審査の結果、原裁決が違法又は不当であると認めるときは、自ら原裁決を取消し又は変更したうえ、裁判所に報告しなければならない。原告の請求どおり処分を行わない場合、再審査の記録及び原処分ファイルを添付して答弁状を裁判所に提出しなければならない。被告機関は原告の請求どおり処分をした場合、原告が起訴を取り下げたとみなし、裁判所は職権により裁判費用を還付しなければならない。
二.行政訴訟法施行法
 地方裁判所に簡易訴訟手続き適用行政事件及び交通裁決事件を扱う行政訴訟法廷が設置されることに伴い、行政訴訟法改正法施行前に係属中の未済簡易事件及び道路交通管理処罰条例違反への異議申立ての管轄裁判所及び適用手続きを明確に規定する。
 また、改正行政訴訟法施行前に高等行政裁判所に係属中の強制執行事件に関し、執行開始前、又は執行中のものは、改正法施行後、全て地方裁判所行政訴訟法廷に移送する。
三.知的財産案件審理法第30条ノ1
 当事者の利益確保のため、知的財産関係行政事件に関し、簡易訴訟手続きが適用されない規定を新たに設ける。即ち、知的財産関係行政事件は一律に通常訴訟手続きを適用する。
四.行政裁判所組織法第3条~第4条、第7条
 三級二審制への制度改正に備える審級組織(審判を行う裁判所間)の調整
(一)簡易訴訟手続き適用行政事件の第一審は地方裁判所行政訴訟法廷が扱う。
(二)行政訴訟法廷設置後、高等行政裁判所が受理する事件は主に、
  1.訴願決定又は法律により訴願決定とみなされる審決への不服申立て(通常訴訟手続き)。
  2.地方裁判所行政法廷第一審判決への不服申立て(控訴)。
  3.地方裁判所行政法廷裁定への不服申立て(抗告)。
  4.その他法律により高等行政裁判所が管轄する事件。
五.知的財産裁判所組織法第6条
知的財産案件審理法第30条ノ1の改正に合わせて、知的財産裁判所における行政訴訟審理は、三人の裁判官による合議制で行う。(2010.08)

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