今年対台湾投資10億元超 IBM、台湾研究開発拠点が最大規模 研究者も千人へ
J100917X5 2010年10月号(J134)
IBMはこの間、対台湾投資を拡大すると発表し、今年の投資額は10億元(約27億円)を超えるとみられる。年内にも台湾拠点における研究開発者の人員編成を全体の四割から五割に引き上げるという。
IBMの台湾拠点はx86サーバーの研究開発を行う中心地と位置づけられ、ほかには、アメリカのノースカロライナ州の州都であるローリーにも拠点があるが、台湾拠点に匹敵するほどの規模ではない。また台湾IT産業クラスターが形成された点に着目して、IBMはIT Appliance(アプライアンスとは:特定の機能に特化したコンピュータのこと。家庭用ゲーム機や単機能サーバ、Web閲覧・メール送受信専用端末などがこれにあたる)の研究開発センターを台湾に設ける方向で検討しており、しかし一方でシンガポール当局も候補地に名をあげている。
IBMは来年に設立100周年を迎え、IBM台湾法人も設立して54年を経過している。9月16日、台北市南港ソフトサイエンスパークにおける新しい研究開発センターの運用開始に際して、台湾IBMは、従業員数に占める研究開発者の数を今の四割から五割(1千人)へ引き上げることを発表した。ITアプライアンスはIBMの重点発展業務であり、これまでに分かれていたソフトウェアとハードウェアの業務を統合して、設計時に直接ソフトウェアをハードウェアに取り込む方針で、台湾にITアプライアンスができれば、台湾のハードウェアメーカーだけでなく、ソフト設計業者のグレードアップにもプラスである。
1999年、IBMは台湾にソフト研究開発センターを設立して以来、金融機関向けソリューションと電子商取引ソフトの開発を進めてきた。2004年にx86サーバー研究開発センター、2009年にクラウドコンピューティング技術構造の研究センターをそれぞれ設立。今までは総本部の指示を受けて動いてきた台湾拠点は今や、自主的研究開発を行う立場に転じ、顧客のニーズに応じて技術・製品の開発から販売まで一貫化したサービスを提供するようになっている。(2010.09)