エピタキシ最大手の晶元光電が豊田合成とクロスライセンス ハイテク型産業クラスターが形成された台湾はLED生産で世界一を目指す

J100917X5 2010年10月号(J134)

 エピタキシ台湾最大手の晶元光電(Epistar、エピスター)は9月16日、LED世界大手の豊田合成とクロスライセンスを締結することが発表された。これにより、双方が保有するLED関連特許を互いに利用することができるようになった。

 エピスターにより、今回は台湾のLED川上メーカーが初めてLED関連基本特許を所有する世界大手とのクロスライセンス締結であり、同社の特許技術と市場地位が評価された証しである。クロスライセンスにより、両社の関係はより一層緊密になり、エピスターの国際競争力向上につながる。
 「エピスターの一歩は、台湾LED産業の大きな一歩」とみる市場関係者は、訴訟に代えての協力関係の構築は世界的LED産業の発展を良い方向に導き、LED照明時代の到来を早めることが期待できる。ヨーロッパは2012年には全面的に白熱灯の使用を禁止することになっていることから、60ワットの白熱灯に代わるLED電球の小売価格は9.99ユーロに値下げられるとみられ、価格の下落は市場の拡大をけん引するだろう。コストダウンはいうまでもなく、これまでCREE、Lumileds、日亜化学、オスラム(Osram)としか技術提携をしなかった豊田合成とのクロスライセンスにより、エピスターは世界大手の仲間入りを実現することができたという点において大きな意義がある。

 台湾はLED生産で日本に次いで世界2位だが、基本特許の多くは日亜化学、豊田合成、米国のCREE、オランダのLumileds、ドイツのオスラムが保有しているから、特定市場(例えば日本)への参入が困難で、価格競争力が比較的弱い。たとえば川下業者が豊田合成からエピスターが受注生産したLEDチップを購入する場合の価格は、直接エピスターから購入するより3割から4割高い。エピスターが特許の使用権を取得すれば、川下業者もより価格競争力の強いLEDチップが手に入る。LED業界は「台湾はいずれLED生産で世界一になる」と強気の発言。

エピスターと世界大手五社の協力関係

会社名

協力関係

豊田合成 特許技術のクロスライセンス、日本のテレビ・照明市場への参入が可能
CREE エピスターから赤色LEDを購入
日亜化学工業 エピスターから赤色LEDを購入
Philips Lumileds Lighting 4元LED関連特許ライセンス供与
OSRAM Opto Semiconductors 受注生産

(2010.09)
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