台湾工業研究院が米2010年「科学技術革新賞」金賞と「R&D100アワード」受賞 超薄型フレキシブル基板ディスプレー技術で世界各国からの強敵を圧勝

J100928Y5・J100928Z5 2010年10月号(J134)

 台湾の工業技術研究院は、厚さが僅か0.01センチの超薄型フレキシブル基板ディスプレー製造技術(FlexUPD display technology)で、ノキア、マイクロソフト、フォードなどを含め世界30カ国の597の研究機関や個人発明家を圧勝し、米ウォールストリートジャーナル紙が主催する第十回『2010 WSJ テクノロジー イノベーション アワード』の金賞(最優秀賞)を受賞したことが9月27付同紙の報道で発表された。600件近くの発明品から最終的に49件の技術が選出され、受賞率は8%。工業研究院は今年の早い時期に同じ技術で2010年の『R&D100』を受賞している。
(注:『R&D100賞』は、月刊発行部数9万部を誇る米国の雑誌 R&D誌により、過去1年間に開発された世界の先端技術のトップ100に贈られる賞)

 電子製品のフレキシブル化は時代の流れになっている。今回、工業研究院が受賞した技術のカギは軽く、薄くかつ透明度の高いフレキシブルなプラスチック基板上に多層構造の電子素子を作製した後においても、なお簡単にこのプラスチック基板を切断するような方法でガラス基板から取り外すことができ、厚さが僅か0.01cmの超薄型フレキシブルなカラーディスプレーの製造に成功したことにある。このプラスチック基板を取り外した瞬間、工業研究院が自ら開発した粘着力の無い「De-bonding Layer」という材料が機能したことが優勝に結び付いたという。

 この新技術は世界大手各社が金属箔を基板とし、或いはレーザーを使って取り外す技術をはるかにリードしている。容易性、低コストのメリットから、台湾のLCDメーカーに現有の製造プロセスの優位性を利用して、高可とう性を持つフレキシブルなディスプレー電子デバイスの生産体制に突入することが可能である。

 工業研究院が最近発表した6インチの超薄型フレキシブルカラーディスプレーはこの技術を使って開発した最先端製品である。輝度が150ニト(nit、明るさを表す単位)に達し、厚さ僅か0.01cmのディスプレーを折り撓めてもカラー映像の再生が続けられ、半径5 cm以下の弯曲も可能。実験の結果、ディスプレーは1万5千回にわたって繰り返して折り撓めていても、その動画再生機能に影響することはなかった。

 工業研究院は2008年から多用途フレキシブルな電子基板の研究開発に取り掛かり、世界各国に95件の関連特許を出願中。技術移転や技術提携に興味のある業者との交渉を歓迎するという。

 ウォールストリートジャーナルは紙面の半分に工業研究院の受賞を報道し、審査員の一人であり、Booz & Companyの創業者の一人でもあるBarry H. Jaruzels氏は報道で、工業研究院の受賞発明を安定性・量産性・価格競争力といったメリットをもつ新技術と評価し、消費者向け電子製品や双方向的端末製品の幅広い応用市場を切り開くスタートになるだろうとコメントした。
(注:1914年にエドウィン・ブーズにより創業されたBooz & Companyは、全世界61事務所に3300人以上のスタッフを擁するグローバルコンサルティング会社として、世界のトップ企業、政府及び諸機関にコンサルティングサービスを提供している)(2010.09)

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