台湾投資環境評価世界4位、アジア2位 米BERI報告発表

J100920Z8・J100919Z8 2010年10月号(J134)

 米国のビジネス環境リスク評価会社BERI(Business Environment Risk Intelligence)の最新報告によると、台湾の投資環境はスイス、シンガポール、ノルウェーに続く世界4位、アジア2位とランクされ、評価を受けた50か国のうち、歴年のランキングで最も順位が高い結果となった。台湾経済は世界的金融危機からいち早く回復し、中国との経済協力枠組み協定(ECFA)締結による中台関係の改善が順位の上昇につながったとみられる。

 BERIは年に三回(4月、8月、12月)「投資環境リスク評価レポート」を発表し、多国籍企業の角度から、各国における投資及び収益状況を踏まえた評価を行っている。去年の台湾の順位は世界5位、今年4月の発表で4位、第二回の調査でも同じ4位をキープし、総合評価は1ポイント上がって71点になった。

 今回のランキングでは台湾の投資環境を「投資に適した地域」の1B レベルと格付けしている。BERIによると、2010年から2011年にかけて、台湾の政局は安定し、重大なリスクが存在せず、これから先2年間も引き続き中国と緊密な関係を維持できるだろうとしている。2011年も順位を世界4位にキープし、2015年には5位になると予測される。

 アジア地域では、シンガポール(世界2位、総合評価78点)に次いで2位。日本(世界6位、68点)、中国(世界15位、60点)、韓国(世界18位、57点)、マレーシア(世界21位、56点)、インド(世界29位、46点)、タイ(世界32位、45点)、フィリッピン(世界34位、44点)、インドネシア(世界39位、41点)、ベトナム(世界39位、41点)をリードしている。

一.事業運営リスク指標:世界3位、アジア2位
  台湾における事業運営リスクは世界3位(69点)、順位は前回(2010年第一回)より2ランク上昇、点数も2ポイント上がって、シンガポール、スイスに次ぎ、ノルウェーと並んだ。アジアではシンガポール(世界1位、73点)に次ぎ2位、日本(世界18位、56点)、マレーシア(世界21位、54点)、中国(世界22位、53点)、韓国(世界25位、50点)、インド(世界26位、49点)、タイ(世界32位、43点)、フィリッピン(世界36位、42点)、ベトナム(世界40位、40点)、インドネシア(世界41位、39点)をリードしている。
  2009年の景気後退に比べて、2010年の台湾の経済成長率が谷底から這い上がり、消費者信頼感指数も回復し、輸出の成長と民間消費の好調により、年間実質GDP成長率は6.8%に達すると予測される。強い経済状況が雇用に反映され、2010年の失業率は5.5%より低く、2011年は低下傾向が続くだろう。2011年の台湾の事業運営リスクの評価は70点に上がり世界3位、2015年は70点を維持して世界3位とBERIが予測する。
二.政治リスク指標:世界11位、アジア2位
  台湾の政治リスク指標は世界11位(60点)、順位は前回(2010年第一回)より2ランク上がる。アジアではシンガポール(世界1位、76点)に次ぎ2位。その他の国に対する評価はそれぞれ次の通り。日本(世界14位、57点)、中国(世界16位、56点)、マレーシア(世界23位、51点)、韓国(世界24位、50点)、ベトナム(世界25、48点)、フィリッピン(世界29位、43点)、インド(世界33、42点)、タイ(世界40位、38点)、インドネシア(世界43位、35点)。
  BERIによると、6月下旬に中国と経済協力枠組み協定(ECFA)を結んだことにより、台湾の政治リスクは効果的にコントロールされている。これから先の二年間、アメリカとの関係も安定した状態が続き、アメリカも今までどおりに台湾に武器を売却するだろう。2011年の台湾の政治リスク評価は61点に上がり世界11位、2015年はさらに62点に上がり世界12位、2020年は64点へ世界12位と予測される。
三.為替リスク指標:世界3位、アジア2位
  台湾の為替リスク指標は世界3位(85点)と前回(2010年第一回)と同じで、点数は1ポイント上がる。アジアでは日本(世界1位、90点)に次ぎ、シンガポールと並んだ。韓国は世界8位・72点、中国は世界9位・70点、マレーシアは19位・62点、タイは25位・53点、インドネシアは29位・49点、フィリッピンは世界33位・48点、インドは34位・47点、ベトナムは世界47位・34点。
  台湾の通貨は比較的安定した水準を維持している。輸出・輸入ともプラス成長が目立ち、外資誘致においては今年初めに営利事業所得税率(法人税)を17%に引き下げるほか、世界的な投資誘致活動にあたる専門プロジェクトチームを設立するなど、見事な実績を上げている。中国とのECFA締結も外資を引き付けるインセンティブの一つとされている。2011年の台湾の為替リスク評価は85点・世界3位、2015年は85点・世界4位。

表1  国別投資環境評価(2010年第2回)

項目

国別

投資環境評価(総合指標) 事業運営リスク 政治リスク 為替リスク
2010-Ⅱ 2015〈予測値〉 2010-Ⅱ 2015〈予測値〉 2010-Ⅱ 2015〈予測値〉 2010-Ⅱ 2015〈予測値〉
採点 順位 格付け 採点 順位 採点 順位 採点 順位 採点 順位 採点 順位 採点 順位 採点 順位
スイス 79 1 1A 81 1 71 2 75 1 75 2 77 1 90 1 92 2
シンガポール 78 2 1A 79 2 73 1 75 1 76 1 76 2 85 3 86 3
ノルウェー 73 3 1B 74 3 69 3 70 3 68 3 69 4 81 6 84 6
台湾 71 4 1B 72 5 69 3 70 3 60 11 62 12 85 3 85 4
オランダ 70 5 1B 73 4 63 8 66 8 64 6 68 5 83 5 85 4
日本 68 6 1B 71 6 56 18 60 17 57 14 61 13 90 1 93 1
オーストリア 67 7 1B 69 8 67 6 70 3 68 3 70 3 67 13 68 14
ドイツ 66 8 1B 70 7 63 8 66 8 61 9 65 8 75 7 79 7
フィランド 64 9 1B 65 10 58 15 61 16 64 6 66 7 68 10 69 13
ベルギー 63 10 1C 64 11 68 5 70 3 52 20 53 23 68 10 70 11
スウェーデン 62 11 1B 66 9 58 15 62 15 61 9 64 9 67 13 71 10
カナダ 61 12 1C 64 11 63 8 67 7 57 14 60 14 63 17 64 19
アメリカ 61 12 1C 64 11 62 12 66 8 62 8 63 11 60 20 63 20
デンマーク 61 12 1C 63 14 63 8 66 8 54 19 56 19 66 15 66 16
中国 60 15 1C 63 14 53 22 56 22 56 16 58 17 70 9 75 8
アイルランド 59 16 1C 62 16 59 13 64 14 52 20 54 21 66 15 67 15
フランス 58 17 1C 61 18 56 18 60 17 55 18 58 17 63 17 66 16
イギリス 57 18 1C 62 16 59 13 65 13 60 11 64 9 51 27 54 27
韓国 57 18 1C 61 18 50 25 54 23 50 24 54 21 72 8 74 9

表2 台湾の投資環境最新評価(2010年第二回報告)

順  位

備    考

総合評価

世界4位 順位は前回と同じ。総合採点は1ポイント上がって71点に。トップスリーはスイス、シンガポール、ノルウェーの順。
項目別順位 事業運営リスク指標 世界3位 順位は前回の5位から3位へ上昇。点数は69点(前回より2ポイント上がる)。トップツーはシンガポール、スイスの順。
政治リスク指標 世界11位 順位は前回の13位から11位へ上昇。アジアではトップのシンガポールに次ぎ2位。
為替リスク指標 世界3位 順位は前回と同じ。点数は1ポイント上がって85点に。日本は90点でスイスと並んで世界1位。続いて台湾はシンガポールと並んでアジア2位。
注:50か国が評価の対象となっている
(2010.09)

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