「紐約」の商標登録は容易に誤認、家具店が敗訴

J101025Y2 2010年11月号(J135)

 紐約家具設計中心(New World Design Center)は知的財産局に対して「紐約家具設計中心及び図NEW WORLD DESIGN CENTER」の商標登録を出願し、それぞれ「不動産賃貸販売」及び「家具小売」の異なるサービス区分における使用を指定した。
 知的財産局は、「紐約」(ニューヨークの意)は都市名であり、紐約家具設計中心は台湾企業で、売場も台湾国内に所在するため、「紐約」を中国語商標における主要な識別とすると、提供するサービス並びに場所とニューヨークとの関連性を消費者に誤認させる可能性があり、名称と実態が一致しないことから両区分の登録を拒絶した。紐約家具設計中心はこれを不服として、知的財産裁判所に対して行政訴訟を提起した。
 紐約家具設計中心側は、「巴黎婚紗」、台湾各地にある重慶川菜館、タイヤ業界の「横浜輪胎」など多くの業者が地名を商標としている例を挙げ、取引の常態において地名や都市名の使用は販売広告対象商品の特色を標榜する際の慣習的な手法であり、消費者に誤認混同を生じさせるものではないと主張した。
 さらに同中心は、知的財産局が地名や都市名を商標として登録することを認めて成功している例(「紐約花芸」、「紐約牙医」等)が多数あり、同中心の「紐約」だけを認めないのは明らかに平等原則に反しており、また、「紐約」を金融領域ではなく家具領域で使用するのであれば、誤認混同の問題は生じないと主張した。
 しかしながら合議体はこの訴えを受け入れず棄却した。合議体は、類似する案件において個別の事実と証拠の様態がそれぞれ異なり、それらが調査の結果に影響を与えるので、その他の類似の商標の案件をここで引用し、同様に有利な結論を求めることはできないとの見解を示した。本案件はさらに上訴することができる。(2010.10)

裁判番号:知的財産裁判所99年行商訴字第116号

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