「植物品種及び種苗法」一部改正案が可決 特許権と育成者権は相互の強制実施権許諾が可能に

J101105Y1 2010年12月号(J136)

 行政院院会は2010年11月4日、「植物品種及び種苗法」一部改正案を可決した。当該改正案は行政院が2009年12月11日すでに立法院の審議へ送っている「特許法」改正案に合わせて作成されたもの。今後、植物を特許の対象に加えるために育成者権の強制実施権許諾関連規定を調整するもので、これにより育成者の合法的権利を保障し、産業の積極的なイノベーションと研究開発を奨励する。
 行政院農業委員会によると、世界各国の知的財産権関連の法規制度において植物の新品種を保護する方法はそれぞれ異なるが、大部分は特許法、又は専門性の法令或いは両方によって育成者権を保護している。台湾で現行されている特許法第24条第1項では、動植物は特許を受けることができないと規定されているが、植物だけは育成者権で保護することができる。ただし、行政院は国内バイオテクノロジー産業の発展を促すため、経済部が提出した特許法改正案では、動植物が特許適用の範囲に組み込まれている。特許法が動植物に対する特許保護を適用した後に現行の「植物品種及び種苗法」と矛盾が発生しないように、「植物品種及び種苗法」とのすり合わせを行う必要がある。「特許の実施」を「強制実施権の許諾」に変更し、公益増進のため非営利目的で実施するために強制実施権の許諾を請求する場合の要件を明らかに定めるとともに、特許権と育成者権の相互強制実施権許諾の協議システムを新たに定めている。
 農業委員会はさらに、今回の改正は育成者の合法的な権利を保障することに基づいたもので、特許法改正に合わせて、産業の積極的なイノベーションと研究開発を奨励するとともに、海外の国際植物育成者権保護制度に足並みをそろえて台湾農産物の世界市場における競争力を高め、農業貿易交流を促進するとしている。
本案件の改正要点は以下の通り:
(一)「特許法」改正案の規定に合わせて「特許実施(特許の実施)」を「強制授権(強制実施権の許諾)」に変更。(改正条文第30条、第31条及び第39条)
(二)「特許法」改正案に合わせて「合理的な商業条件を提示したにもかかわらず、相当期間内に実施許諾について協議が達成できなかった場合」を、公益増進のため非営利目的で実施するために強制実施権の許諾を請求する場合の要件とし、さらに強制実施権の許諾を許可する際に補償金を同時に査定することを明らかに定める。(改正条文第 30条)
(三)特許権者が育成者権の強制実施権の許諾を請求する要件を新たに追加し、育成者権が強制実施される際、育成者権者も特許法に基づいて出願者の特許権強制実施権許諾を請求することができるものとする。(改正条文第30条の1)

*植物品種及び種苗法の一部改正案
第30条  国家の重大な情勢に対応するためもしくは公益を増進するための非営利目的で実施し、且つ請求人が合理的商業条件を提示したにも関わらず、相当期間内に実施許諾について協議を成立できなかった場合、特許主務官庁は請求に基づいて、当該請求人に育成者権の強制実施権を付与することができる。その実施は国内市場の需要に供給することを主としなければならない。
 強制実施権の許諾は、非排他的な実施で且つ移転・譲渡してはならないという方法に限定し、さらに実施期間を明確に定め、4年を超えてはならない。
 育成者権者が競争制限又は不正競争により受けた裁判所の判決又は行政院公平交易委員会の処分が確定したときは、前項の事由がない場合であっても、特許主務官庁は請求に基づいて、請求人に育成者権の強制実施権を付与することができる。
 中央主務官庁は強制実施権の許諾請求書を受理した後、当該請求書の副本を育成者権者に送達し、3ヶ月以内に答弁させるものとする。期限までに答弁しなかった場合は、直ちにこれを処理することができる。
 強制実施権の許諾は他人が同一の品種に関わる実施権を取得することを妨げない。
 強制実施権者は育成者権者に妥当な補償金を支払うものとし、中央主務官庁が強制実施権を付与する際に同時に査定する。
 強制実施権は強制実施に関わる営業とともに移転・譲渡、信託、相続、許諾、又は質権の設定をするものとする。
 強制実施権の許諾の原因が消滅した場合、中央主務官庁は請求に基づいて強制実施権を廃止することができる。

第30条之1  特許権者が特許権を利用するのに他者の育成者権を実施する必要があり、且つその特許が当該育成者権に比べて相当な経済意義をそなえる重要技術改良であり、その特許権者が合理的商業条件を提示して育成者権者と育成者権の実施許諾について協議したが、相当期間内に実施許諾について協議を成立できなかった場合、特許権者は前条規定に基づいて主務官庁に対して強制実施権の許諾を請求することができる。
 前項規定に基づいて育成者権に対する強制実施権の許諾が請求された場合、その育成者権者は合理的商業条件を提示し、特許法に基づいて出願者の特許権に対して強制実施権の許諾を請求することができる。
第1項の規定に基づいて強制実施権を取得した場合、その実施期間は前条第2項の制約を受けない。

第31条 第30条の規定に基づいて許可された強制実施権者強制実施権許諾の目的に反した場合、中央主務官庁は育成者権者の請求又は職権に基づいて、その強制実施権許諾を廃止することができる。

第39條 育成者権の変更、強制実施権許諾、許諾、質権の設定、消滅、取消、廃止及びその他の公告すべき事項について、中央主務官庁は公告を行うものとする。
 (2010.11)

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