国内司法判決で初のケース 仕組債の賠償請求、消費者保護法に基づき賠償命令

J101116Y8 2010年12月号(J136)

 楊○○(男性)は2008年に第一銀行新店支店で定期預金口座を開こうとしたが、銀行が2種類の「元金保証」仕組債を強く勧めた。楊○○は仕組債を購入することにしたが、半年後には300万新台湾ドルの損失が出てしまったため、第一銀行に対して賠償請求の告訴を提起した。台北地方裁判所は審理の結果、第一銀行は消費者保護法に基づいて告知の義務を果たさなかったとして、第一銀行に対して仕組債の元金に10%の懲罰性賠償金を加えた334万新台湾ドル余りを楊○○に支払うよう命令した。
 これは国内司法判決では初めて消費者保護法に基づいて銀行に仕組債販売に関する賠償金支払いを命じたケースとなった。第一銀行では、裁判所が銀行に10%の罰金を科すのは珍しいことであり、今後はこの顧客がこれまで類似の金融商品に投資したことがないかどうか、又は顧客の以前受け取った利息などの詳細な資料を収集して上訴するとしている。
 多くの司法実務関係者の見解によれば、仕組債の購入は「投資行為」であり、消費行為ではなく、仕組債の損失に対する賠償請求は多くが棄却されている。第一銀行の仕組債訴訟を担当した裁判官は実務関係者の見方に反して、仕組債の購入はスーツ、住宅、自動車を購入するのと同様と見なして消費者保護法を適用することができ、銀行は懲罰性賠償責任を負うべきだと判断した。
 本案件を担当した趙子栄裁判官は判決文において、消費者保護法を適用するかどうかは、実務上ほとんどが行政院消費者保護委員会の見解に基づくもので、これは主務官庁が最初から仕組債購入者の動機が「投資」であり、その他の動機の可能性がないと「見なす」のは不合理であるとの考えを示している。
 判決文によると、スーツの購入は消費行為とみなされ、消費者保護法が適用されるが、スーツの購入は就職の面接を受けるため自分に投資するためである可能性があり、面接に成功する場合も失敗する場合もある。仕組債の購入で利益を得るか、損失を出すかもこれと同じである。洋服を買う動機が投資だからといって消費者保護法を適用しないということがあるだろうか。仕組債を投資目的ではなく無駄遣いしないために購入したのであれば、消費者保護法を適用しないのは不公平だといえる。
 裁判官によると、もし第一銀行が手数料を得るために顧客を扇動することをせず、銀行の元金、利息保証の広告で煽り立なければ、楊○○は馴染みのない仕組債に対する受け入れ度が低かったと考えられる。仕組債の購入は住宅や自動車の購入に類似しており、企業が雇用する者は一定の専門知識を持つ必要がある。このため、消費者保護法の適用を類推できるとしている。(2010.11)

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