トカゲに似ている? ヤモリ商標登録は妥当、再審査へ

J110321X2 2011年4月号(J140)

 靴を製造する宋○○は経済部知的財産局に対してヤモリの図案を服飾・靴の商標として登録するよう出願していたが、知的財産局は当該商標が仏アニエス・トゥルーヴレ(Agnes Trouble)氏の有名ブランド「agnes b.」のトカゲ商標に類似しているとして拒絶査定を行った。宋○○はこれを不服として行政訴訟を提起。裁判所は審理の結果、両動物が類似しているからといって宋○○の商標登録を拒絶するべきではないと判断し、知的財産局に対して再審査を行うことを命じた。【知的財産裁判所行政判-99行商訴207-20110303】
 アパレルブランド「agnes b.」は1975年パリで誕生し、世界には250ヵ所近い専門販売店がある。当該ブランドは自然とシンプルを強調している。この商標行政訴訟におけるトカゲ商標は、実際に創設者が飼っていたペットで、その後当該ブランドのスポーツシリーズの商標となった。
 靴メーカーを営む宋○○は2009年に頭が右側に向いているヤモリの図案の下部に英語名「GECKO STEP」を配置した商標の登録を知的財産局に出願し、自社で生産する靴のブランドとしようとした。ところが知的財産局は審査した結果、同商標が「agnes b.」が登録している3種類のトカゲの商標及び独サラマンデル社(Salamander GmbH)の商標に類似しているとして拒絶査定を行った。
 宋○○は裁判所に対して行政訴訟を提起し、「agnes b.」のトカゲ商標はいずれも頭が上に向いており、ドイツの商標もファイアサラマンダー(火のトカゲ)であり、宋○○が出願した頭が右、尾が左に向いているヤモリの図案とは全く異なると主張した。
 知的財産局は、宋○○の商標の下部には英語のブランド名が配置されているが、両者とも爬虫類の図案を使用しているため、外観が極めて類似している上、宋○○は服飾・靴における使用を指定しており「agnes b.」と同一であるため、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあると判断した。
 これに対して裁判所は自然界における動物の外観は元来似ており、ヤモリ商標の下部には英語名称も配置されているため、知的財産局の拒絶査定を取り消し、知的財産局に差戻して再審査を行うよう命令する判決を下した。(2011.03)

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