「特許法改正案」立法院一読を通過

J110406Y1 2011年5月号(J141)
「特許法改正案」は2011年4月6日に立法院の一読を通過した。今回の審査では、「海峡両岸知的財産保護協力協定」の締結に合わせて、第28条及び第29条の改正をすでに公布しており、原改正案の第28条と第29条の文言と一部異なるため今後与野党間の調整を行う必要があるが、その他の条文については審査が完了した。
 今回の審査会において注目された重点には、美術工芸品のデザインパテントの保護、農民が自家用に種子を残す行為の範囲、及び植物を特許の対象に加えた後の農業テクノロジー政策等の事項が含まれている。経済部知的財産局は行政院農業委員会と具体的な補充措置について話し合っていく。
 特許法は2003年2月に改正公布されて以来すでに8年が過ぎている。審査会を可決した改正内容が今後立法院の院会(本会議)における審議を通過すれば、国内バイオテクノロジーの向上、精密農業及び文化創造(クリエイティブ)産業の発展、特許審査システムの健全化、特許権保護の強化に役立ち、台湾特許制度の国際化に有利になるだろう。
 一読を通過した「特許法改正案」は合計162条(改正108条、追加39条、削除15条)から成る。改正の重点は以下の通り。
(1)動・植物を特許の対象とするとともに、農民が自家用として種子を残す行為に対する免責、権利消尽、特許権と植物品種権(育成者権)の相互強制実施権許諾等の補充規定を追加。
(2)故意によらず特許出願と同時に優先権を主張していない場合、又は特許年金の未納により権利を失った場合、権利を回復するシステムを追加。
(3)出願人による補正の自主的提出に関する時間的制限が削除される他、特許出願案件の分割出願については元の出願の特許査定後30日以内に緩和する。
(4)医薬品及び農薬品の特許権期間延長に関する規定を改正。
(5)商業目的ではない未公開行為、国内外薬物の発売許可取得を目的とする必要な行為、明確に国際消尽原則が採用される場合等の特許権効力が及ばない事項を追加、改正。
(6)強制許諾に関する事由及び補償金査定に関する規定の改正。
(7)職権による審査制度の廃止、一部の請求項目についての無効審判請求、無効審判請求案と訂正案の合併審査及び合併査定等を含む特許の無効審判制度の改正。
(8)特許権侵害の主観的要件の明文化、損害賠償金額の算定方式及び特許標示規定の改正。
(9)同一の者が同日にそれぞれ特許及び実用新案登録の出願をした場合の規定を追加し、実用新案訂正の形式審査(方式審査)を明文化。
(10)部分意匠、コンピュータ画像(Icons)及び図形化ユーザーインターフェース(GUI)、組物の意匠の登録規制を緩和し、関連意匠制度を追加。
 今回の特許法改正は多くの制度の変革に関わっている。各界が改正後の制度を十分に理解して運用できるよう、その施行日は行政院が別途定める。さらにその他の関連法規、審査基準、出願書及びシステムの改正などが含まれる補充措置については、知的財産局が積極的に検討している。(2011.04)

特許法改正案の重点

重点

内容

意匠保護の拡大 ● 名称を「新式様専利(意匠)」から「設計専利(デザインパテント)」に変更
● 部分意匠、関連意匠、組物の意匠、コンピュータ画像(Icons)及び図形化ユーザーインターフェース(GUI)等の創作についてデザインパテントの登録出願を緩和。
バイオテクノロジー産業発展の奨励 ● 動・植物に特許登録出願を緩和。
● 医薬品及び農薬品の特許権期間延長規定を緩和し、一度に限り最長5年延長でき、特許権期間は最長25年とする。
強制許諾の請求 ● 公益を高める非営利の実施
● 特許権又は実用新案権が以前の特許よりも経済的意義を具えた重要な技術改良である場合
● 育成者権が以前の特許よりも経済的意義を具えた技術改良である場合
● 特許権者が競争制限又は不正競争により裁判所又は行政院公平交易委員会の処分を受けた場合
損害賠償金額の算定 ロイヤリティを損害賠償金とできる規定を新設し、故意の特許侵害に対する懲罰的賠償金(損害額の最高3倍)に関する規定を削除する。
資料出所:立法院
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