知的財産局の特許審査基準を改正、補正態様を緩和

J110509Y1 2011年6月号(J142)

 経済部知的財産局は5月から大幅に補正事項と「特許請求の範囲」の実質変更に係る判断基準を大幅に緩和するとともに、具体的な事例説明を追加した。これによって特許補正の運用方法が増え、特許権の安定性を高めることに役立つ。今回の改正重点は以下の通り。
 一.補正事項に係る判断基準の緩和:
 現行基準では二部形式クレームの補正は、不明瞭な記載の釈明を理由に行う場合のみ特徴部分の一部技術的特徴を前文の部分に入れられるだけだった。今回の改正では前述の補正態様以外に、さらに以下の補正態様も認めている。(1)二部形式クレームを段落分けのないクレームに書き換える、又は(2)段落分けのないクレームを二部形式クレームに書き換える、又は(3)二部形式クレームの前文部分の一部技術的特徴を特徴部分に記載する、という補正態様はいずれも不明瞭な記載の釈明に属し、「特許請求の範囲」の実質拡大又は実質拡大にはあたらない。
 二.「特許請求の範囲」の実質変更に係る判断基準の緩和:
 現行基準では、「発明の説明」又は図式の技術的特徴を「特許請求の範囲」に記載する補正は、「特許請求の範囲」に元来記載された技術的特徴(例えば「有機酸」)に下位概念の技術的特徴(例えば「ギ酸」)を記載することのみを認め、その他の補正は「特許請求の範囲」の実質変更とみなしている。今回の改正では、「特許請求の範囲」に記載されている技術的特徴(例えば「部品A」)を更に限定する技術的特徴(例えば「部品a1と部品a2から構成される部品A」)に補正する場合、補正前の「発明の産業上の利用分野」又は「発明が解決しようとする課題」が変わらなければ、「特許請求の範囲」の実質変更にはあたらないとしている。また「特許請求の範囲」におけるミーンズ・プラス・ファンクション(MPF: means plus function)、ステップ・プラス・ファンクション(SPF: step plus function)用いて表示された技術的特徴を「発明の説明」で記述される対応する当該機能の構造、材料、動作に補正することは現行基準で認められていないが、今回の改正では緩和され、補正が認められている。
 三.事例説明の追加:
 一部の事例の追加削除については、裁判所の判決が確定した事例を追加し、さらに(1)補正事項の判断、(2)明細書又は図式が開示する範囲を超える場合の判断、(3)「特許請求の範囲」の実質拡大や実質変更の判断、という順で再編成している。その中で(3)については(A)独立クレーム削除と従属クレームの独立クリームへの書き換え、及び(B)「発明の説明」又は図式の技術的特徴の「特許請求の範囲」への記載という2種類の状況に分けてそれぞれ説明し、審査官と各界関係者が十分に補正案件の審査原則を理解できるようにしている。(2011.05)

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