「商標法改正案」立法院三読を通過

J110531Y2 2011年6月号(J142)

 商標法改正案が5月31日立法院の第三読会での審議を通過した。条文は合計111条で、71条が改正、26条が追加、9条が削除された。
 今回の改正の重点は以下の通り。
(1)商標登録の保護客体を拡大。例えば動く商標、ホログラム商標等の新たな形態の商標。
(2)商標の各種使用の態様について明確に定める。
(3)商標権者の第二期登録料納付が遅れることを避けるため、登録料の二期分納制度を廃止。
(4)先願の商標権者が他人の併存登録出願に同意しても、明らかに不当な状況がある場合、後願商標は登録できないと改正。
(5)故意ではなく登録料の納付期限を守れなかった場合の権利復活規定を追加。
(6)他人の登録商標の無効審判又は取消審判の請求を行い、後願商標或いは変更又は付記により登録した商標(係争商標)が登録からすでに3年を経過した商標(引用商標)と同一又は類似を構成しており、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあると主張する場合、(引用商標の)使用事実の証明を提出しなければならない等の規定を追加。
(7)「損害賠償」は侵害者に主観上、故意又は過失があることを要件とする旨を明確に定める。最低損害賠償が単価の500倍とする規定を削除。また商標権者がその損害額の証拠を提出する負担を適度に免除するため、合理性のあるロイヤリティーの金額を損害賠償額とできる規定を追加。
(8)著名商標の識別性又は信用・名誉を毀損する「おそれ」があるだけで、侵害行為とみなすことを明確に定め、著名商標の保護を強化する。また権利の濫用を避けるため、他人の「登録商標」を自らの会社名、商号、ドメインネーム等とした場合、侵害行為とみなすという規定を削除。
(9)税関の職権による押収に係る法的依拠を明確に定める。侵害事実の調査又は訴訟提起が必要なもののために、税関が商標権者に疑義貨物の情報を提供したり、商標権者が担保金を供託して貨物見本の貸し出しを申請したりして、侵害認定を行うことができる等の規定を追加。
(10)産地証明標章及び産地団体商標等に関する規定を明確に定める。さらに直接、間接的に証明商標権を侵害した場合の刑事罰規定を追加。
 今回立法院を通過した商標法改正案は多くの制度改革に係っており、各界が十分に改正後の制度運用を理解、適応できるよう、十分な準備期間をおく必要である。このため、その施行日については行政院が別途定めるものとしている。各界が改正後の制度を十分に理解して運用できるよう、その施行日は行政院が別途定める。さらにその他の関連法規、審査基準、出願書及びコンピュータシステムの変更などが含まれるその他補充措置については、知的財産局が積極的に商標法改正内容に合わせて検討している。(2011.05)

 商標法改正案の説明および条文新旧対照表の日本語訳は以下のサイトをご参照ください。
https://www.tiplo.com.tw/pdf/201105TrademarkLaw-J.pdf

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