商標名を分類に、 クラブツリー&イヴリンがオンラインショップに敗訴

J110808X2 2011年9月号(J145)

 著名な基礎化粧品ブランドである「クラブツリー&イヴリン(中国語名;瑰珀翠、英語名;Crabtree & Evelyn)」の代理店である兆星国際有限公司(Starbright Co., Ltd、以下「兆星公司」)は有機基礎化粧品オンラインショップ「徳蔻天然有機産品有限公司(Decor Co., Ltd、以下「徳蔻公司」)」が無断でクラブツリー&イヴリンの「園芸大師(ガーデナーズ)」シリーズを「園芸」シリーズに変更してネット上で販売し商標権を侵害したとして、320万新台湾ドルの賠償金支払いを請求した。【知的財産裁判所行政判決-99民商訴39-20110602】
 裁判官は、徳蔻公司が標示する商品は並行輸入されたもので、「園芸」は商品の分類に過ぎず商標を使用しようとする意図がないと判断し、兆星公司に敗訴を言い渡した。
 「クラブツリー&イヴリン」はソープメーカーとして誕生し、台湾の兆星公司が1983年から代理販売を行っている。シリーズの1つである「ガーデナーズ(Gardeners)」は中国語の「園芸大師」と翻訳され、知的財産局に対して商標を登録している。このため商品の認知度が高まり、クラブツリー&イヴリンは女性に人気の高いハンドクリームのブランドとなっている。
 兆星公司によると、徳蔻公司は昨年ネット上で「園芸」の名義を使い「園芸大師」シリーズと同じハンドクリームとハンドソープを販売し、消費者に兆星公司が代理する商品だと思わせている。自社が20年余りかけて消費者に「園芸大師」シリーズの特色を印象づけてきたが、相手側は改名して販売し、商標権に深刻な影響を与えているため、徳蔻公司に320万新台湾ドルの賠償金支払いを請求した。
 これに対して徳蔻公司は、クラブツリー&イヴリンの商品の種類が多いため、同社は分類のためだけに一部の商品を「園芸」シリーズとして「ガーデニングが好きな人に最適であること」を強調した。それを商標として使用したわけではないと主張している。さらに徳蔻公司によると、サイト上では商品が「専任スタッフが発注、並行輸入品」と明記しており、消費者が兆星公司の代理する商品だと誤認することはない。
 裁判官によると、「園芸」という2文字には独創性がなく、徳蔻公司は「ガーデナーズ」シリーズのハンドクリーム又はハンドソープを「園芸」商品に分類したにすぎず、商標として使用していない。徳蔻公司は商品の出所も明記しているため、消費者は商品が代理店からのものだと認識するには至らず、徳蔻公司は商標法に違反していないとの判決が下された。(2011.08)

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