無効審判で「デザインに創作性がない」ため取り消された容器意匠係争 知的財産裁判所は知的財産局に勝訴判決

J110920X1 2011年10月号(J146)

 フェレロ(FERRERO S.P.A)は呉○○が設計した化粧品「容器」の意匠が世界的に知名度の高いチョコレート「フェレロ・ロシェ(中国語名:金莎巧克力)」の外観デザインに類似しているとして無効審判を請求した。知的財産局は創作性がないと判断して意匠登録を取り消したため、呉○○はこれを不服として行政訴訟を提起していたが、このたび知的財産裁判所は呉○○に敗訴を言い渡した。【知的財産裁判所行政判決-100行専訴46-20110831】
 呉○○の主張によると、自分が設計した「容器」はすでに中国と米国で意匠登録している。その意匠は物品を装填する容器であり、現在は化粧品を装填している上、容器本体を再利用できるため、フェレロのチョコレート「フェレロ・ロシュ」とは異なる。さらにチョコレートの国際工業デザイン分類コードは自分が設計した容器の分類コードとは異なり、物品の空間形態や売り場における陳列場所も異なるため、消費者の誤認混同を招くおそれはない。
 しかしながら、フェレロは「フェレロ・ロシュ包装」7タイプを証拠として提出して、呉○○が「フェレロ・ロシュ包装」の外観デザインを直接自らの「容器」に転用しており、全体の設計には特異的な視覚効果がなく、創作性をそなえていないことを証明した。
 判決によると、「金莎吸引力,凡人無法擋(誰もフェレロ・ロシェの魅力を拒めない)」という広告が1993年から1998年に様々なメディアに掲載され、これは呉○○が2004年2月9日に意匠登録する以前のことであり、フェレロ・ロシュの外観デザインが先行技術だといえる。また知的財産局は特許法第110条第4項に規定されている登録してはならない意匠に基づき、フェレロの無効審判の請求は成立すると認定して呉が取得した意匠権を取り消したが、この処分に誤りはない。
 知的財産裁判所によると、各国の特許法及び特許審査基準において意匠に関する規定が我が国とは同じではなく、当該容器が中国及び米国で意匠権を取得していることは、それが当該国の意匠要件を満たしていることを証明するだけにすぎず、我が国の意匠要件を満たすか否かとは関係がない。(2011.09)

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