処方薬の不正競争に公平交易委員会初めて処罰 薬品会社1新台湾ドルで落札に300万新台湾ドルの課徴金

J110907X4 2011年10月号(J146)

 薬品会社の和安行股份有限公司(英語名:HOAN PHARMACEUTICALS LTD.、以下「和安行」)は1新台湾ドルで医学中心(大型医療機関)の注文を落札し競合業者を追い落としたが、公平交易委員会(公正取引委員会)は「不正な方法での競争制限行為」であると認定し、公平交易法(公正取引法)第19条第3号の規定に基づいて、和安行に300万新台湾ドルの課徴金を課した。
 本件は公平交易委員会が初めて薬品会社を処罰したケースとなった。これまで薬品に係わるケースを処理したことはあったが、多くは不実の広告や薬効の誇大広告を行うOTC医薬品(市販薬)が対象だった。処方箋医薬品(処方薬)の競争方法に係わる処罰はこれが初めて。同時に薬品会社の「手口」もまれにみるもので、同委員会は公平交易法第19条第3号の「不正な方法」にあたると認定して処罰した。
 1新台湾ドル落札が起きた原因は、いかなる処方薬も大型医療機関で採用されるには「実績」が必要なことにある。つまり大型医療機関における使用証明がないと、その他の病院での価格比較手続きに入れてもらえない。処方薬が大型医療機関で採用してもらうための要件となっているのだ。
 本件の和安行は2005~2007年にLundbeck(中国語名:隆柏)社製の抗鬱剤「立普能膜衣錠(Lexapro ® 5mg Film-Coated Tablets)」を独占販売していた。2008年にLundbeckが本薬の処方を開放したため、東竹有限公司(East Bamboo Co., Ltd.、以下「東竹公司」)がジェネリック医薬品「抑鬱錠(Escitalopram、つまりLexaproと同じ成分)」の販売を開始し、これは台湾で初めての製薬会社の主成分と同じジェネリック医薬品の同時販売となった。つまり和安行の目の前に競合者が登場したのだ。
東竹公司は大型医療機関へ参入する「鍵」を手に入れるため、高雄医学院大学付属の中和紀念医院における薬品調達入札で落札しようと積極的に動いていた。東竹公司のジェネリック医薬品はコストが安いのに対して、和安行が製造元から輸入する医薬品はコストが高い。東竹公司が「参入の鍵」を手に入れるのを阻止するため、和安行は1粒1新台湾元で落札した。
 東竹公司は同医院の「参入の鍵」を取得できなかった後、2008年~2010年11月に多くの大型医療機関における薬品調達入札で排除された。
 公平交易委員会によると、和安行の製造元からの輸入医薬品と東竹公司のジェネリック医薬品は当時の国民健康保険給付額(薬価)がそれぞれ1粒あたり34.4新台湾ドルと27.5新台湾ドルだった。つまり同じ成分であるにもかかわらず輸入医薬品はジェネリック医薬品よりも1粒あたり6.9新台湾ドル高かった。和安行は6.9新台湾ドルだけ値下げして入札すれば同じ目的(落札)を達成できたにも拘わらず、1新台湾ドルという極端な方法で落札し、東竹公司の参入を阻止したのは不正競争にあたる。(2011.09)

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