「香蕉国際」商標が敗訴、「香蕉共和国」に類似し容易に混同

J111120Y2 2011年12月号(J148)
婦人用バッグ「嬌蕉包」で知られる嬌蕉国際有限公司(Banana International Inc.、以下「嬌蕉国際」)はバッグ皮革製品のブランド「香蕉国際」(Banana International)を立ち上げるために商標を出願したが、知的財産局は米国企業が「香蕉共和国」(Banana Republic)をすでに登録しており、使用される商品用途も同じであるため、消費者に誤認させる可能性があるとして拒絶査定を出した。その後嬌蕉国際は訴訟を提訴したが、知的財産裁判所から敗訴の判決を下された。【知的財産裁判所行政判決-100,行商訴,103-20111110】
 嬌蕉国際が以前発売していた「嬌蕉包」バッグは世界的な有名ブランド「エルメス」の「バーキンバッグ(Birkin bag)」に類似した図案を(キャンバス生地に)熱転写して人気を博し、台湾の「バーキンバッグ」と呼ばれるようになった。エルメスを生産するフランス企業から「嬌蕉包」一千個の仮差押えが請求され、訴訟に及んだ。
 「香蕉国際」は自社ブランドとして確立しようとしたバッグ皮革製品の新ブランドで、2010年7月にメンバーの蔡依霖が知的財産局に商標出願を行ったが、知的財産局は米国のBanana Republic (ITM) Inc.(中国語名: 伯蘭納共和(ITM)公司)が登録している「香蕉共和国」にきわめて類似しており、両者ともバッグや皮革製品等に使用されるため、消費者の誤認混同を招くおそれがあるとして拒絶査定を出した。
 嬌蕉国際はこれを不服として訴訟を提訴し、両商標の字数、外観とも明らかに異なると主張した。さらには、果物名を商標の文字図形としたものは数多く、同じ果物名でもデザインによって意味や字数の違いを生み出し、特徴と特殊性をもたせれば、識別性をそなえることができ、「蘋果」(りんごの意)と「金蘋果」や「紅蘋果」、「橘子」(オレンジの意)と「遊戲橘子」や「橘子線上」などがそれにあたると主張している。いずれも「香蕉」という単語が含まれているというだけで類似商標に属するとはいえず、ましてや「国際」と「共和国」の定義は全く異なり、「香蕉国際」は「台湾から世界に向かうという目的」を象徴している、としている。
 一方、知的財産裁判所によると、両商標はいずれも「香蕉」という文字があり、指定商品の分類も類似しており、両商標に同一の出所,使用許諾、加盟等の関係があると誤認させる可能性がある。さらに台湾の一部の商品サイトでは「香蕉共和国」の商品が紹介されており、これは「香蕉共和国」が汎用され、台湾地区の消費者が知るところであることを証明するものである。一方、「香蕉国際」をキーワードとして検索しても同商標を使用した商品は見当たらず、同商標の知名度を証明しがたい。さらに、ネット上には嬌蕉包の販売専門サイトがあり、「香蕉共和国」とリンクしており、それをクリックすると「嬌蕉包」を販売するサイトにつながり、見るものを混乱させる。嬌蕉国際の今回の出願が善意によるものではない疑いがあるため、敗訴を言い渡した。(2011.11)
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