両岸の知的財産保護で研究成果を保障
J120112Y6 2012年2月号(J150)
知的財産局は両岸間の知的財産権交流の成果と展望を発表した。「海峡両岸における知的財産権の保護及び協力協定(原文:海峽兩岸智慧財産權保護合作協議、英文:Cross-Strait Agreement on Intellectual Property Right Protection and Cooperation)」が2010年9月12日に発効となり、両岸(台湾と中国)はこの協議を通じて主務官庁同士のコミュニケーションのプラットフォームと協力・処理の枠組を確立し、同協議の実現と両岸知的財産権交流において生じる問題について直接話し合い、協調してきた。
両岸間の優先権主張受理を例に挙げると、2010年11月22日から2011年9月までに、中国当局が台湾から受理した優先権主張は特許が計3236件、商標が計29件で、一方台湾当局が中国から受理した優先権主張は、特許が計2039件、商標が計25件だった。両岸間では特許の優先権主張がメインであり、有効に出願者の研究成果が保障されていることがうかがわれる。
商標案件の協力・処理については、2011年12月までに知的財産局が審査を行い協力・処理原則に該当したため中国の商標局又は商標評審委員会に通報して協力・処理を行った案件は67件、そのうち完了したものが25件に達している。例えば「MSI微星科技」、「台銀」、「台鹽生技」等の商標が中国で悪意をもった他人に先に登録されていた案件については、中国の商標局、商標評審委員会の協力の下、迅速に解決することができた。
情報交換については、現在のところ双方の情報交換作業が順調に進められている。中国が予定通りに提出した資料には、特許明細書の画像ファイル、英語特許要約書、特許明細書全文のデジタル化資料、特許公報、中薬(漢方医が使う生薬)特許データベース、中国語法律事情、中草薬(漢方医が使う生薬と民間薬)データベース、知的著作権の図書等が含まれる。台湾からはすでに、特許要約書、全文デジタル化資料、法律事情、科学技術用語及びバイオ・医学・中草薬データベースの資料を提出しており、これらは相互の業務を理解するうえで大いに役立つものである。
知的財産局によると、同協議の発効後、双方はすでに「特許」、「商標」、「著作権」、「品種権」の4つの作業グループを設置しており、毎年定期的に作業会議を開いて双方の主務官庁が関心事項と問題点を議論し、コンセンサスを得ることでスムーズに運営している。2011年にはそれぞれ6月、7月、8月に商標、特許、著作権の作業会議を開き、関心が高い議題について議論を行っている。議題には、協力・処理システムの成果向上、今後の作業グループの運営方法、今後審査実務に関して優先する交流等が含まれ、一部のコンセンサスを得ている。
知的財産局によると、今度中台双方は引き続き上記協議内容を積極的に実現し、共同で海賊版の取締を強化するとともに、業務交流や審査提携を進めて、異なる双方の審査作業や認定基準のすり合わせを行うために、特許検索や審査結果の相互利用、品種権の審査・測定試験等の交流・提携という長期目標を推進していく。(2012.01)