特許権侵害の賠償請求訴訟、 巨擘が二審で再び敗訴

J120615Y1 2012年7月号(J155)

 巨擘科技股份有限公司(Princo Corp.、以下「巨擘科技」)及びその子公司である巨擘先進股份有限公司(Princo Optoelectronics Corporation、以下「巨擘先進」)と荷蘭商皇家飛利浦電子股份有限公司(Koninklijke Philips Electronics, N.V.、以下「Philips」)との間の光ディスク製造特許権侵害に係わる賠償請求訴訟において、知的財産裁判所第二審合議法廷は先日、巨擘科技等の上訴を棄却し、20億新台湾ドルの損害賠償金と多額の利息(支払日まで年利5%で計算)を支払うよう巨擘科技等に命じた。巨擘科技及びその董事長である祁○○、巨擘先進及びその董事長である邱○○等の被告は、連帯で損害賠償責任を負わなければならない。【知的財産裁判所民事判決-99,民專上,74-20120614】
 知的財産裁判所合議法廷によれば、Philipsは我が国の第29646号及び第34345号特許の特許権人であり、特許保護期間はそれぞれ1988年6月16日~2007年1月26日、1988年6月11日~2008年6月11日となっている。一方、巨擘科技と巨擘先進は台湾で著名な大手CD-R/RWメーカーである。
 1997年6月23日、Philipsは巨擘科技と特許ライセンス契約(使用許諾契約)を結んだが、巨擘科技は契約締結後、1997年第4四半期からロイヤリティ(権利金)の支払を拒否し、ランニングロイヤリティの計算を示す報告書も提出しなかったため、Philipsは2000年3月21日同契約を解約した。しかしながら巨擘科技卻は解約後もCD-R/RWを生産・販売し続けたため、Philipsは知的財産裁判所に訴訟を提起していた。2010年10月18日,知的財産裁判所第一審判決では、巨擘科技及びその子公司が敗訴し、Philips に対する損害賠償金20億新台湾ドルおよび関連利息の支払いが命じられた。
 巨擘科技等が敗訴した主因はPhilipsの特許が進歩性を有さない証拠を提出できなかったほか、巨擘科技等は2000年および2002~2007年の年次報告書や会社サイトに「巨擘の120mm書き込み可能光ディスクは700MBの容量を提供し、光ディスクドライブでCD-ROM上の読み取り可能なフォーマットを書き込むことができる」と記載している。これにより巨擘の書き込み可能光ディスクはPhilipsオレンジブック・パート II (Orange Book Part II)の規格に合致していることが分かる。裁判所は巨擘科技等が特許権を侵害したことを認めた。
 第二審合議法廷によると、巨擘側は双方間のロイヤリティ係争案件において特許ライセンス契約が公平交易法(公正取引法に相当)に違反しているため、民法の関連規定に基づき無効だと主張した。巨擘は特許ライセンス契約が最初から無効だと主張しながらも、Philipsの同意を得ずにCD-R/RWを製造・販売した行為はPhilips特許権の侵害であり、損害賠償責任を負うべきである。
 今回の判決は確定判決ではないため、巨擘科技がこれを不服とする場合はさらに上訴できる。(2012.06)

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