書類追加提出の期限切れで、宏碁の特許は優先権喪失

J120614Y1 2012年7月号(J155)

 宏碁股份有限公司(Acer Incorporated)が開発した特許「無線通訊裝置、無線存取網路、以及管理多分量載波之方法(米国での基礎出願名:Wireless Apparatuses, wireless systems, and methods for managing multiple component carriers)」は知的財産局に対する優先権証明書類の追加提出が期限を超えたため、優先権喪失(優先権の主張無効)となり、切歯扼腕の結果となった。【知的財産裁判所行政判決-101,行專訴,6-20120531】
 2011年4月宏碁は知的財産局に対して発明特許「無線通訊裝置、無線存取網路、以及管理多分量載波之方法」を出願した。出願書の中で2項目の国際優先権を主張したが、知的財産局は方式検査の結果、宏碁に対して同年8月8日までに優先権証明書を追加提出するよう通知した。
 ところが宏碁は8月8日に第2項の優先権証明書類と、米国特許商標庁に第1項優先権の基礎出願を出願した際の出願受領書(Filing Receipt)コピーのみを提出した。知的財産局は、宏碁が出願日から4ヵ月以内に本案件の第1項優先権証明書類を提出しなかったため、特許法第28条規定に違反したとして同年8月26日に宏碁に第1項優先権喪失を通知した。宏碁はこれを不服として行政訴願を提起したが棄却されたため、知的財産裁判所に行政訴訟を提起していた。
 知的財産裁判所の判決文によると、特許法第28条、特許法施行細則第22条にはそれぞれ、優先権の主張を行う場合、出願日から4ヵ月以内に優先権証明書類の正本を提出しなければならず、コピーで代替することはできないと規定されている。宏碁が提出したのは受領書のコピーであり、米国特許商標庁が出願書類を受領したというレシートにすぎず、特許法第28条第2 項に定める「受理を証明する出願書類」には当たらない。
 況してや、宏碁が委託した米国の関連機関は2011年8月5日に米国特許商標庁が受理を証明した出願書類正本を取得しているが、同年8月8日までにその文書を知的財産局にファクシミリで送っておらず*、知的財産局は期限切れのため優先権が喪失したと審決しており、その責任は宏碁自らが負う必要がある。(2012.06)

*「特許審査基準 第一編 特許手続き審査 第二章 発明専利1.2.6 国際優先権の主張」より一部抜粋
…出願人は出願日から4ヵ月以内に、該国(訳注:基礎出願を行った国)が受理を証明する出願書類を提出しなければならない。(台湾の)出願書に(優先権主張を)声明しなかった場合、または期限内に受理を証明する出願書類を追加提出しなかった場合は、優先権は喪失するものとなる(特許法第27条第1~3項、第28条、第108条、第129条を参照)。出願人は前述の4ヵ月の期間内に証明力を有する優先権証明書類のファクシミリを送付し、並びに指定期間内に書類の正本を追加提出した場合、その優先権の主張を受理するものである。

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor