新商標法が7月から登場 動画、ホログラム、匂い、触感も商標登録可能に

J120619Y2・J120618Y2 2012年7月号(J155)

 新商標法が2012年7月1日から施行されている。商標の保護客体の範囲が拡大され、動画、ホログラム、または視覚以外の感覚である匂い、触感など特定のブランドに対する印象をもたらす標識はすべて商標登録を出願できるようになる。
 知的財産局が示した例によると、携帯電話端末のスイッチを入れたときの画面、映画のオープニング・ロゴである「吠えるライオン」、「トーチを持った自由の女神」などの動画は見ただけで特定の商品や役務の提供者を連想でき、識別性が高いため、商標登録出願の資格をそなえている。この場合、業者は動画と音声の結合商標としての登録を出願できる。
 ホログラムについては、クレジットカード上の「羽ばたく鳥」や「世界地図」は偽造防止機能以外に識別性をそなえて消費者に特定ブランドのイメージをもたらすならば、商標登録を出願することができる。
 匂いや触感の商標は「識別性」と「非機能性」という2つの要件を満たす必要がある。花の香りの香水、革の匂いの皮革製品のような商品本体の匂い、あるいは台所石鹸や洗濯石鹸によく使われるレモンや柑橘類の香りのような経常的に商品に使用される匂いは識別性を有しないため商標登録できない。一般的な機能性を持つ匂いは商標登録が難しい。漂白剤の場合、刺激臭を和らげるためにラベンダーやレモンの香りをよく添加しているため、出願しても登録を許可されないだろう。世界で登録されている匂いの商標は、サクランボウの香りのエンジンオイル、クチナシの香りの刺繍糸、青草の香りのテニスボールの3件のみで、米国やEUが商標の識別性を認定した少数のケースだ。しかしながらこれら3件の登録商標のうち、商標権が存続しているのは1件のみで、その他2件は商標権を延期しなかったため失効している。これは識別性の継続が難しかったり、実質的な利益が低かったりすることが原因と考えられる。触感の商標については、世界で登録したケースは極めて限られている。米国で登録された触感商標は、皮革またはビロードの触感を持つ材質でボトルを覆ったワインボトル2件のみ。
 知的財産局によると、「非伝統的商標(non-traditional)」登録を取得するため、出願人は国内関連消費者がすでに登録出願しようとする商標が識別のソースとなっているマークであることを挙証しなければならない。この際、出願人は商標の実際の使用情況、使用期間、商品の販売量および市場シェア、広告販促活動情報等の資料を提出してもよい。これに関連する詳細事項は知的財産局が改訂し公布した「非伝統商標審査基準」を参照することができる。(2012.06)

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