元従業員による競業他社への転職を告訴したコンビニが敗訴

J120917Y4 2012年10月号(J158)

 新竹県の朱○○と林○○は2010年某コンビニチェーンで店舗開発スタッフとして働き、2ヵ月後に次々と退職した後、他のコンビニチェーンへ転職した。元雇用主は、朱○○と林○○が入社時に約定した「競業禁止条項」に違反しているため、月給20ヵ月分に相当するそれぞれ64万新台湾ドルと66万新台湾ドルを違約金として支払うべきだと主張した。裁判官は、該「競業禁止条項」が一般社員の責任を強化し、その就労権を不当に制限するもので、その状況からみて公正を欠いていることは明らかであり、且つ元雇用主は具体的に違約によってもたらされた損害を具体的に挙げることができなかったと判断し、新竹地方裁判所は元雇用主に敗訴の判決を言い渡した。【台湾新竹地方裁判所民事判決-101,労訴,10-20120817】
 元雇用主の主張によると、朱○○と林○○は2010年9月に店舗開発スタッフに就任した際、職務が特殊で企業機密に接触する機会があるため、2人は任職同意書に署名し、離職から1年間は元企業の同意を得ない限り、任職期間に得たノウハウ、企業機密及び顧客リソースを利用して、台湾及び元企業の営業地域(国家)の流通事業に就職、投資、指導、参与せず、違反した場合は離職時の月給20ヵ月分を懲罰的違約金として支払うことを保証した。
 さらに、元従業員2人は当時店舗開発、加盟店募集等の業務を担当していたため、元企業は様々なリソースを提供し、彼らが商業圏を熟知し、市場動態を理解するよう指導するとともに、いかに市場調査を行うかを教えた。このため、2人は当該地区の店舗家主の資料や業績等の企業機密を掌握していた。仕事を始めてわずか2ヵ月後に前後して退職した後、1年未満で元雇用主と激しい競争関係にあるチェーン経営のスーパーに就職し、同じ商業圏で店舗開発の業務に従事して、元雇用主の権益に深刻な影響をもたらしたため、約定に基づいて違約金を支払うべきである、と元雇用主は主張した。
 一方、元従業員の2人の主張によると、「競業禁止条項」はキャリアアップや金銭状況の改善にとって障害となっており、憲法の就労権と生存権の保障に違反しているため、無効とするべきだ。さらに元の企業で勤務した期間に企業機密には接触しておらず、元雇用主による職業訓練も受けていない。退職後に他のスーパーに就職し、担当した地域は元の企業とは全く異なるため、元の企業の企業機密を利用する可能性はない。
 裁判官によれば、競業禁止を定める期間と内容が合理的な場合、憲法の就労権保障に抵触することはないが、当該条項の制限を台湾全土、さらには海外拠点にまで広げることはできない。月給がわずか3万新台湾ドル余りの一般社員に対してその競業禁止の責任を強化し、さらに退職後1年間は全国の流通事業で就労できないと制限しているが、2人とも管理職ではなく、競業禁止条項の制約を受ける必要はない。さらに元雇用主も2人が就業期間中に得た技術、企業機密及び顧客のリソースを利用して他のスーパーに雇用されたことを挙証できなかった。(2012.09)

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