特許の新たな契機を掌握、2013年から新特許法が施行

J121213Y1・J121212Y1 2013年1月号(J161)

 知的財産局のニュースリリースによると、国内産業の技術革新・研究開発と特許出願制度の健全化を促進し、さらには特許制度を国際化するため、20111221日付総統令において特許法の改正が公布され、201311日から全面的に施行された。今回の全面的な改正に合わせて、知的財産局は合計8項の法規命令を改正し、551章にわたる審査基準を追加・改正した。また新法の施行のために合計15回の宣伝指導説明会と30回の公聴会を開催した。関連の法規、特許審査基準、出願書式、特許審査情報作業システム等も新特許法とともに適用されている。ただし新制度において使用される書式のレイアウトと手続の実務規定に関しては、まだ改善の余地があるため、現在、出願代理人業界側が知的財産局に対して改善を求めている。
 
今回の改正は以下の6つの方面に帰属できる。
一.出願手続きに関して
1.特許出願人がすでに刊行物で発表している場合も、グレース・ピリオドを主張できる(訳注:刊行物発表から6ヵ月以内は新規性及び進歩性の喪失の例外が適用される)ことを追加。2.出願権証明書類の提出を免除。3.特許を外国語書面で出願する場合は、アラビア語、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語に限られる。4.生物材料の寄存証明書と生存証明書の一本化。5.故意によらず特許出願時に優先権を主張していない場合、あるいは証書代又は特許料の納付期限が過ぎて失権した場合、権利回復を申請できる等。
二.実体審査について
1.出願人による自発補正に関する時間的制約を削除する。2.発明特許出願案件が初審で特許査定された後30日以内は分割出願を提出できるよう緩和。3.最終審査意見(拒絶理由)通知制度を導入する。4.誤訳訂正制度を導入する。5.特許権延長の要件を緩和する。6.一案両請処理規定を追加する(訳注:同一人が同日に特許と実用新案を出願した場合の規定を追加。知的財産局が特許査定を行うと判断した時点で出願人に択一するよう通知し、出願人が特許を選択した場合、実用新案は初めから存在しないとみなされる)。7.実用新案の訂正は方式審査を採用することを明確に規定する等。
三.保護拡大について
意匠の保護範囲を拡大し、部分意匠、コンピュータ画像及び図形化されたユーザーインターフェース(アイコン及びグラフィカルユーザーインタフェース)、組物意匠、派生意匠(関連意匠)を保護範囲に組み入れ、国内産業界の創造的な意匠に対する需要に応え、デザイン成果の保護を強化する。
四.特許侵害の救済について
1.特許権侵害に係わる損害賠償は、行為者が主観的に故意また過失であった必要があると明確に規定。2.合理的な特許実施許諾料で損害賠償を算出する方法を追加。3.商業目的ではない未公開の行為、国内外で医薬品の販売許可を取得することを目的とする研究・試験の行為はいずれも特許権の効力が及ばない。4.国際消尽原則を明確に採用・実施。
五.強制実施権について
1.当者間で実施許諾に関する合意を得られず強制実施する事由は、前置手続きに変更され、公益を増進するための非営利目的での使用、再発明等の事由との連結が必要であると定め、強制実施権の依拠とする。2.国家の緊急事態又はその他の重大な事故において、特許主務官庁の緊急命令又は使用を必要とする機関からの通知によって必要とする特許権の強制実施権を設定できる。3.補償金を一段階で許可する。4.発展途上国や低開発国の公衆衛生問題を解決するのに協力するため、関連する医薬品を製造する能力を有するジェネリック医薬品メーカーは強制実施権を請求し、必要とする国に輸出できる。
六、特許無効審判について
1.職権により(訳注:無効審判請求人が提出していない理由や証拠を斟酌して)審理できる規定を削除。2.一部の請求項に対して無効審判を請求できる規定を追加。3.無効審判の逐項審理、逐項審決、無効審判案件と訂正案件の合併審理及び合併審決等。
 
さらに、各界が改正後の制度運用を十分に理解し適応できるように、知的財産局はより具体的な「新專利法過渡適用問題彙整表(新特許法の過渡期適用に関するQ&A)」も作成している。関連の法規及び資料はいずれも知的財産局サイト(http://www.tipo.gov.tw)、又はTIPLO関連資料(https://www.tiplo.com.tw/jp/claw.php?lno=5)を参照されたい。(2012.12

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