DVDパテントプール、公平交易委員会が条件付きで許可

J130125Y1・J130125Y4 2013年2月号(J162)

 LGエレクトロニクス(LG Electronics, Inc.)、パイオニア(Pioneer Corporation)、フィリップス(Koninklijke Philips Electronics N.V)、ソニー(Sony Corporation)の4社はそれぞれOne-Red, LLC社の株式を1/4ずつ取得してパテントプールを結成するため、公平交易委員会(公正取引委員会に相当、以下「公平会」)に申請していた。公平会は1月24日、負担(条件)を付けることで同案を許可し、その企業結合を禁止しないと決議した。今後DVDリーダーを生産したい業者は同パテントプールに申請するだけで、大部分の特許を取得することができ、特許を所有する企業とそれぞれ許諾交渉をする必要がなくなる。
 公平会によると、4社の結合参加事業(即ち届出人)自身がDVD製品の生産に必要な特許技術を所有し、実際にDVD製品の生産にも従事している。パテントプールの関連契約によると、当該パテントプールは独立した特許専門家による定期的審査に合格した必要性や相補性を有する特許及び有効な特許のみを含む。さらにこれは閉鎖的なパテントプールではなく、特許を必要とするすべての者に開放するものとする。また当該パテントプールに参加する許諾人はリーズナブルで差別のない待遇を以て単独許諾を要求する被許諾人に対し個別に許諾を行う必要がある。さらに許諾人が機密情報を開示することを禁止する関連条項を定め、パテントプールのメンバーが共謀する可能性を回避するとともに、被許諾人が出荷する前、バッチ当たり特許許諾を申請する際に提供した情報を許諾人が取得することを避ける条項も定めている。
 また、当該パテントプールのグラント・バックの範囲は必要とする特許に限られ、且つグラント・バックの許諾人にその特許を独自に許諾することを許し、グラント・バックによって被許諾人の研究開発に対する誘因が弱まることを回避している。パテントプール関連の契約には、許諾人による競合技術の使用や、競合する基準や製品の開発を阻止するいかなる条項も盛り込まれていない。
 さらに公平会によると、もし当該企業結合を禁止したならば、台湾DVD製品メーカーはそれぞれの特許権所有者と許諾交渉を行う必要があり、取引コストやロイヤリティ総額がOne-Red, LLC社を経由する許諾よりも高くなることが予測される。このため当該パテントプールによって国内メーカーの必要とする特許の許諾取得が容易となり、取引コストも下がり、さらには特許権侵害や訴訟のリスクを回避できる。
 公平会によると、パテントプールも被許諾人が必要な特許を使用する機会を増やすことで、川下市場における競争を増進できるはずであり、さらには許諾人がセンシティブな情報を取得したり交換したりすることがないため、垂直間の競争形成に不利な影響がもたらさない。
 さらに、4社がパテントプールを利用して競争制限行為を行うことを回避するため、公平会は公平交易法(公正取引法)第12条第2項の規定に基づいて企業結合を禁止しないが負担(条件)を付けている。経済全体の利益を確保するためにつけられた負担は以下の通り。
一.届出人はDVD製品に関して価格や生産量を制限する協議を行ったり、重要な取引情報を交換する連合行為を行ったりしてはならない。
二.届出人及びOne-Red, LLCは被許諾人の技術使用範囲、取引相手及び製品価格を制限してはならない。
三.届出人及びOne-Red, LLCは被許諾人が許諾を経た特許の必要性や有効性を争わないよう制限してはならない。
四.届出人及びOne-Red, LLCは被許諾人が許諾期間内又は満了後に競合商品の研究開発、製造、使用、販売や競合技術の採用を制限してはならない。
五.届出人及びOne-Red, LLCは被許諾人に許諾した特許に関連する内容、範囲又は特許有効期間等を提供することを拒絶してはならない。(2013.01)
 

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