重大な変革、大法官会議を全面的に法廷化

J130108Y9・J130107Y9 2013年2月号(J162)

 「大法官会議」は歴史の一部となる。司法院院会は「大法官審理案件法」改正案を可決した。大法官の組織を全面的に法廷化し、憲法法廷と統一解釈法廷に分ける。今後は大法官が決議する以前に開廷して口頭弁論を行い、判決及び決定を作成しなければならない。
 また、従来民衆による憲法解釈の申請は判決の確定を待たなければならず、すべての審級救済手続きを終えていないと大法官会議に申請を提出することができず、訴訟手続が長いため急場には間に合わなかったが、本改正におけるもう一つの重大な改革として、案件の審理中に憲法解釈を申請できるようになる。民衆の権益がさらに保障されるようになるだろう。
 司法院のニュースリリースによると、大法官審理制度が十分に透明ではないことに鑑みて、2012年退任大法官4人と憲法学者多数を招いて研修会を組織し、大法官審理案件の手続きを大幅に改正して、大法官審理案件を一般の裁判所における案件審理の方法に変更した。今回の大法官審理案件法改正の方向性は「解釈制度の司法化」、「審理手続きの透明化、精緻化」、「権利救済の実益化」、「案件審理の高効率化」であり、その重点は以下の通り。
(一)解釈制度の司法化
1.司法化という方向性に合わせて、案件を審理する組織を法廷化する。職権行使の法廷を憲法法廷と統一解釈法廷に区分し、今後は会議方式で行わない。
2.口頭弁論の一般手続を追加し、特定案件は口頭弁論を行わけなればならないことを明確に定める。
3.案件の決定手続きはその評議及び評決事項を規定し、一般法廷の評議手続に合わせる。
4.判決及び決定の様式及びその記載すべき事項を明確に定める。
(二)審理手続きの透明化、精緻化
1.改正案は現行法の計35条文を109条文に増やし、九章に分けて一般手続の共通事項と各種手続の特別規定を明確に区分して、規範の密度を強化することにより憲法解釈機能を高める。
2.司法化という方向性に合わせて、審理組織の法廷化以外に手続の透明化を求め、米国のアミカス・キュリエ(法廷助言人)制度を参考とし、案件審理スケジュールの公布を追加して、各界が自主的に意見を提出する機会を与え、偏見を是正し、司法のリソースを有効に運用できるようにする。
3.さらに口頭弁論調書、評議記録の閲覧、口頭弁論手続きの即時中継等の事項を規定する。
4.現行制度では不受理決議について理由を付けるが、異なる意見がある場合は公表しないことにしているが、改正案では、大法官が不受理裁定において意見書を提出する場合、不受理裁定とともに公表し、これも手続透明化の一環とする。
5.機関による申請の要件を合理的に改正し、機関による法令の違憲審査申請については職権行使を要件と定め、憲法に基づいて設置される国家最高機関又は法に基づいて職権を独立行使し監督を受けない独立行政機関を申請の主体とし、下級機関が違憲審査を求める場合は先ず上級機関に申請することを定めている。
6.現行法では立法委員の総定数の三分の一を(憲法解釈)申請に必要な人数としているが、四分の一が連署すれば申請できるようにして、それが代表する民意が十分に反映されるようにする。
7.現行の実務と関連法制を統合し、裁判所による大法官解釈申請手続き、総統・副総統弾劾案審判手続き、地方制度係争解決手続きを追加するとともに、大法廷制度に合わせて異なる審判権を持つ終審裁判所による大法官統一的解釈の申請手続きを追加する。
(三)権利救済の実益化
1.民衆がすべての審級救済手続きを終えるのを待たず、裁判審理中に違憲審査を申請することができる規定を追加する。
2.法令の即時失効又は定期失効の宣告の際の、原因案件の救済手続き、裁判所の案件審理時における適用状況を追加する。
3.定期失效の宣告については、裁判所に裁判における適用権限を与え、人権保障と公益の維持を斟酌して、案件の審理手続き停止を裁定して十分に人権を保障することができる。
4.実務上、すでに行った暫時的処分や消極的な審判権衝突の裁決(訳注:各法廷の消極性により生じた審判権の矛盾に対する大法官決定)に関する規範を統合して明確に定め、権利救済の実益を強化する。
(四)案件審理の高効率化
1.現行規定で定められている合憲違憲解釈はすべて2/3に達する必要があるため案件の評決が容易ではないという問題を解決するため、改正案では違憲判決は2/3以上に達しなければならず、達しなかった場合は違憲ではないとの判決を下し、案件が一旦評決を付したならば、すぐに明確な結論が得られるようにする。
2.裁判は主筆大法官の記名制度を採用し、判決主文は審理に参加した大法官が十分に合議を行い、法に基づいて評決した後、大法官一人が合議結果に基づいて判決書を主筆として作成、記名する。裁判理由は冗漫な文字で論ずる必要はなく、案件審理の効率向上を目指すことを明確に定める。
3.案件審理期限の規定を追加し、原則的に案件の審理は期限内に受理するか否かを決定し、外界が知悉し、意見を提供する機会を持てるようにしなければならない。その後期限を決めて裁判を行い、案件を合理的な期限内に結審できるようにする。(2013.01)

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