知的財産裁判所民事権利侵害事件の審理に関する「裁判費用徴収」原則

J130621Y9 2013年7月号(J167)

知的財産裁判所民事権利侵害事件の審理に関する「裁判費用徴収」原則:2013.6.21更新

特定金額を損害賠償として請求するのと、不法侵害の排除と防止若しくは侵害物の廃棄に関する請求とが併せてされる場合、その二者の請求は主従の付帯関係がないので、その価額を併せて計算すべきである(最高裁判所2013319102年度第三回民事法廷会議決議、※最高裁判所102年度台抗字第317号決定を参照)。【註:従来では、損害賠償請求が損害排除と予防の請求に従属するとされ、損害賠償請求自身に関して裁判費納付必要なしとされていた。】

知的財産民事権利侵害訴訟に関して、当事者の訴えの声明は一般的に次の通りとなっている。

(1)損害賠償00元の請求
特許法第96条第2項(改正前特許法第84条第1項前段)
商標法第69条第3項(改正前商標法第61条第1項前段)
著作権法第88条、第85条第1

(2)侵害排除或いは侵害防止或いは侵害物の廃棄などの請求
特許法第96条第1項、第3項(改正前特許法第84条第1項中段および後段、第3項)
商標法第69条第1項、第2項(改正前商標法第61条第1項中段及び後段、第3項)
著作権法第84条、第88条の1

(3)判決内容の掲載或いは名誉回復の為の処分の請求
特許法第96条第5項、民法第195条第1項後段(改正前特許法第84条第4項、第89条)
商標権:民法第195条第1項後段(改正前商標法第64条)
著作権法第89条、第85条第2 

一、損害賠償が若干金額の請求に関して
訴訟目的の価額は原告の訴えの声明によって定める。 

二、侵害排除或いは侵害防止或いは侵害物の廃棄などの請求に関して
財産権に基く訴えなので、その訴訟目的価額は、侵害排除或いは侵害防止或いは侵害物の廃棄などから得られる利益となる。原則上裁判所は職権によって証拠を調査して算定しなければならない。当事者が共に認めた価額も参考にすることができる。
しかし、もし裁判所が既に十分な調査を行っても算定できないとき、民事訴訟法第77条の12によって、第三審に上告することができない最高利益の総額(150万新台湾ドル)に十分の一を加算して(即ち165万新台湾ドル)金額を算定する規定を適用する。いわゆる裁判所が既に十分な調査を行ったとは、既に調査した事実がなければならない。例えば書簡による調査或いは当事者に資料を提出するよう命じるなど(決定の中で述べなければならない)だが、もしやはり客観的に確定できないときは、訴訟目的の価額が算定できないと認めることができる。 

特定金額を損害賠償として請求するのと、不法侵害の排除と防止若しくは侵害物の廃棄に関する請求とが併せてされる場合、その二者の請求は主従の付帯関係がないので、その価額を併せて計算すべきである(最高裁判所2013319102年度第三回民事法廷会議決議、※最高裁判所102年度台抗字第317号決定を参照)。【註:従来では、損害賠償請求が損害排除と予防の請求に従属するとされ、損害賠償請求自身に関して裁判費納付必要なしとされていた。】

三、新聞掲載或いは名誉回復の為の処分の請求に関して
これは財産権に基づく訴えではないので、民事訴訟法第77条の141項の規定によって、3000新台湾ドルの裁判費用を徴収すべきである。 

第一、二項の請求は、訴訟目的の価額を併せて算定した後、民事訴訟法第77条の13の訴訟目的の価額による逆進規定に基づいて徴収すべき裁判費用を計算する。又、第三項の裁判費用3000新台湾ドルは、それぞれ徴収すべきである。

✱以上原則は参考に供するだけ。 

最高裁判所
【判決番号】102,台抗,317
【判決日】20130424

本件の相手方は再抗告人を被告とし、再抗告人は係争薬品の販売、販売の申し出若しくはそのほか係争特許を侵害する行為をしてはならなず、100万新台湾ドルの元金及び利息を賠償すべきであると請求した。原裁判所即ち知的財産裁判所合議審は、損害賠償は侵害排除の付帯請求に属し、民事訴訟法第77条の22項の規定によってその価額を併せて計算する必要がないと認めたが、民事訴訟法第77条の12いわゆる訴訟目的の価額を算定することができないこととは、裁判所が客観上、民事訴訟法第77条の12項の規定によって訴訟目的の価額を算定することができないことを指す、もし裁判所が客観上、その職権によって調査し、その訴訟目的価額を算定できる場合は、訴訟目的の価額が算定できないとは言えない。相手方は改正前の特許法第84条第1項の規定に基づいて上記侵害排除の請求について、再抗告人の侵害中止により得た利益によって訴訟目的の価額を算定すべきであり、双方共に再抗告人は相手方若しくはその代理業者からバイアグラを購入していないと陳述したが、原裁判所が各客観的事実、(例えば再抗告人が起訴前係争商品を販売していた毎年の平均数量、相手方の起訴時のバイアグラに関する利益率、係争特許権の残り年数及び案件審理期間、そのほか代替できる非侵害製品の市場占有率など)を参照し、それを総合して再抗告人の侵害中止後、相手方が得られる全ての利益を概算することができないのかどうかには、疑問がないわけではないので、更に調査斟酌の必要がある。原裁判所は調査せず、又、その調査によって上記侵害排除声明の訴訟目的の価額を算定することができない理由も説明せず、再抗告人が一部地域性の代理業者であり、双方が共に算定の根拠を提出することができないことだけで、その訴訟目的の価額が算定できないと認めたことには、法に合致しないところがある。又、民事訴訟法第77条の22項の規定では、一の訴えに付帯して生じた利息、損害賠償、違約金若しくは費用を請求するときは、その価額を併せて計算しないこととなっている。当該付帯請求と主な請求目的との間に主従関係があり、且つ付帯請求が主な訴訟目的の法律関係の存在にともない発生したものであってこそ、始めて本条項規定が適用される。本件侵害排除の請求は、起訴後特許権の再侵害の禁止を指すものであり、既に発生した侵害の排除ではないので、それが成立するか否かについては、特許権侵害事実の有無及び事実審口頭弁論終結前にすでに存在しているか否かなどを調査すべきであり、後続の侵害行為の排除及び過去既に発生した損害の賠償請求声明することとは主従の付帯関係がない筈なので、訴訟目的の価額を併せて計算しなければならない。原審が直接上記条項の規定によってその訴訟目的の価額を併せて計算しないとしたことには、適用法規の錯誤があることが顕かである。

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