クラウドコンピューティング、台湾は積極的に特許の布陣固め

J130711Y1 2013年8月号(J168)

 クラウドコンピューティングが、ソフトウェアとシステム応用サービスを主軸とする競争の時代の幕を開けた。これに鑑み、行政院は2010429日に第3193回行政院会議において「雲端運算産業發展方案(クラウドコンピューティング産業発展プラン)」を公布し、これを受けて経済部が「雲端運算産業推動辦公室(クラウドコンピューティング産業推進室)」を設置して、関連のクラウドコンピューティングサービスを推進してきた。
 
クラウドコンピューティング(以下「クラウド」)はインターネットをベースとする演算方法で、インターネット内にある多数のネット設備や演算装置を統合し、ハード/ソフトのリソースをスマートフォンやタブレット等の端末に提供することができる。
 
知的財産局によると、特許はIT研究開発のトレンドを読み取る重要な指標であり、台湾はクラウド産業において、クラウドシステムのハード(設備)、応用ソフト、システム統合からサービス管理に至るまで、産業チェーンが整備されている上、ハード製造に関する優位性を有している。「雲端概念」(中国語で「クラウド関連」の意)をキーワードとしてここ5年間の特許出願を検索すると、台湾で出願されているクラウド関連の特許は2,322件に達している。出願人は企業が約67%、大学/専門学校が11%、研究機関が4%、自然人が18%を占めている。特許出願件数は2010年から毎年、倍速で成長し続けている。
 
「クラウド関連」で検索したここ5年間の発明特許を技術分野別にみると、クラウド関連の情報ソフト及びデバイスが約40%、電子商取引が約18%、データ伝達が13%をそれぞれ占めている。国内企業によるクラウド関連特許出願件数をみると、鴻海(Hon Hai)が100件以上の関連特許を出願しており、首位(全体の6%)を占めている。英業達(inventec)、中華電信(Chunghwa Telecom)、宏碁(Acer)、緯創(Wistron)、広達(Quanta)、宏達電(HTC)等の企業も数十件以上の関連特許を出願している。さらに神達(Mitac)、華碩(Asus)、仁宝(compal)等の企業もクラウド産業の重要性を認識し、クラウド関連特許の布陣強化を行っている。(研究機関としては)工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute)資訊工業策進会(Institute for Information Industry)も数十件以上の関連特許を出願。さらに同時期に大学/専門学校も合計すると数百件以上の関連特許を出願している。ここから、台湾の産学研界はクラウド技術関連の製品を積極的に研究開発し、クラウド産業の特許出願が年々成長していることがうかがえる。
 
クラウド関連のハード(設備)についてみると、台湾クラウド産業サプライチェーンにおける企業の多くがサーバと端末の特許を主に出願しており、ディスクアレイ、ネット通信、光ファイバー等の特許出願件数は比較的少ない。この分野については特許の布陣をさらに強化するか、海外大手企業との提携を通じて産業のレベルアップを促進する必要があるだろう。
 
クラウド関連のソフトについてみると、台湾の大学/専門学校、鴻海、英業達、中華電信、工業技術研究院及び資訊工業策進会等が多くの特許を出願している。中小企業と自然人はほとんど応用ソフト関連の特許を出願し、海外大手企業もソフト関連の特許を重点的に出願している。それに対して、台湾の大手企業はソフト関連の特許に関する出願が少ない。また、クラウドの特徴はソフト方面の管理システム及び応用ソフトサービス(例えばGoogleが提供するGmail、クラウドドライブ、カレンダー等のサービス)にあるといえる。ハードに対する需要はいつか飽和してしまうが、ソフトは無限に成長し続ける力を持っている。台湾の大手企業はソフト関連特許の布陣を強化すべきだろう。(20137)

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