工研院と日本の小森が提携、タッチパネル製造工程で大きな前進
J130828X5 2013年9月号(J169)
スマートハンドヘルドデバイスの開発において、薄型のスリムベゼル(超狭額縁)設計が主流となっているが、工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute、以下「工研院」)は8月27日、小森コーポレーション(Komori Corporation)及びその子会社である小森マシナリー(Komori Machinery Co.,Ltd.)とともに共同開発した「非リソグラフィー型ロール・ツー・ロール超細リード線印刷技術(non-lithography roll-to-roll fine-line printing technology)」を発表した。世界で初めて線幅20μmを下回る精密リード線印刷技術(fine-line printing)でスリムベゼルな薄型タッチパネルモジュールを開発した。この先進技術は高コストのフォトリソグラフィ工程に取って代わることができるため、同モジュールは次世代タッチパネルにとって最も重要な設備となっている。2014年には量産段階に入り、タッチパネルの産業革命が本格的に始まるものとみられる。
統計によれば、世界タッチパネル産業は2012年の生産額が4940億新台湾ドル(年成長率48%)に達しており、とくに台湾のタッチパネル産業生産額は世界最高で、市場シェアも5割を上回っている。長年にわたる経済部技術処からの支持の下、工研院はロール・ツー・ロール技術の開発力を高め、整備されたロール・ツー・ロールの試産及び量産に関する実験ラインを設置している。2013年には小森と提携する機会を得て、リード線幅20μm未満のロール・ツー・ロール印刷機を共同開発することができた。この新製品はフレキシブル・エレクトロニクス印刷工程におけるブレークスルーであり、今後タッチパネルの生産ラインに導入され、製品の競争力を大幅に高めることが期待される。
現在大部分のタッチパネルメーカーはフォトリソグラフィ工程を採用しており、工程が複雑な上、コストが高い。工研院は革新的設計であるロール・ツー・ロール設備と伝送技術を用い、超薄型基板に超細リード線を直接印刷(direct printing)することで、フォトリソグラフィ工程に取って代わることができる。わずか1台で、パターンのスパッタリング、塗布、露光、印刷、エッヂング等の設備7台を代替することができ、金属リード線の材料使用率も5%から95%に高め、タッチパネル4~5層の製造工程を完成することができ、効率が高く、環境に優しく、コストを大幅に削減できるというメリットを有する。
工研院の電子與光電研究所(Electronics and Optoelectronics Research Laboratories)の劉軍廷所長によると、市場では様々なスリムベゼル仕様製品が販売されているが、その額縁幅はリード線の線幅と間隔に左右される。現在普及しているスクリーン印刷技術で量産された線幅は60~80μmであり、グラビア印刷でも30~50μmに止まっている。今回工研院と小森が共同開発した革新的製造工程を採用すると20μm未満となり、フォトリソグラフィ並みの水準を達成できる上、時間とコストを削減できる。将来的に同印刷技術はタッチパネル以外に、OLED照明、次世代フレキシブル基板、ディスプレイ、ソーラーパネル等への応用も期待される。(2013年8月)