商標図案の識別は全体で認定、知的財産局が「BabyBoss」商標訴訟で敗訴

J131015Y2 2013年11月号(J171)

 知的財産裁判所によると、商標の近似の有無は、商標図案全体で観察すべきであり、商標は消費者の目に映る全体の図案であり、各部分に分割されて示されるものではない。「BabyBoss」と「HOGO BOSS」等シリーズ商標を全体で見ると、その相違は大きいため、知的財産局によるBabyBossの商標取消に対して敗訴の判決が下された。(智慧財產法院行政判決-102,行商訴,46-20130912)
 「BabyBoss」は中保宝貝城股份有限公司(Babyboss City Limited、以下「中保宝貝城」)が登録出願した商標であり、商品役務区分表第30類の茶葉パック、チョコレート飲料、アイスクリーム、キャンディ等における使用を指定している。それに対して「HOGO BOSS」等はヒューゴ・ボス(外国語名:HUGO BOSS TradeMark Management GmbH & Co. KG、中国語名:徳商雨果伯斯商標管理公司)が登録出願したシリーズ商標は、メガネ、時計、皮革、ジュエリー等少なくとも9種類の区分の商品における使用を指定しているが、第30類の商品は指定していない。
 中保宝貝城は2007年「BabyBoss」商標の登録を出願し、知的財産局に許可されている。ヒューゴ・ボスがそれを発見した後、「BabyBoss」とヒューゴ・ボスの「HUGO BOSS」、「BOSS」等のシリーズ商標とが類似していることを理由に、知的財産局に対して無効審判を請求した。知的財産局はその後、中保宝貝城の「BabyBoss」商標を取り消した。中保宝貝城は両社の商標は全体として大きく相異なるため、知的財産局の処分には理由がないとして、行政訴願を提起した。しかし訴願が棄却されたため、中保宝貝城は知的財産裁判所に訴訟を提起していた。
 知的財産裁判所の判決書によると、中保宝貝城の商標は画家、コック、消防士等のキャラクターから構成され、2つの左右対称のアルファベットBの左右及び上方にキャラクターがそれぞれ配置されており、商標図案の大部分を占めている。さらに下方には小さいフォントで「BabyBoss」という文字が組み合わされており、図案はグリーン、オレンジ、ブルーが配色されている構図である。一方、ヒューゴ・ボスの商標はアルファベット「BOSS」、「HUGO BOSS」又はアルファベット「BOSS HUGO BOSS」、「HUGO HUGO BOSS」を白い文字とその他の色の背景とで構成される図案であり、キャラクターは含まれていないため、両社の商標の類似度は極めて低い。さらに「BabyBoss」商標の指定商品はアイスクリーム、キャンディ等の食品であるのに対して、「HUGO BOSS」等シリーズ商標の指定商品は食品とは無関係であるため、共通又は関連の箇所があるとはいい難い。このため、知的財産局に対して敗訴の判決が下され、訴願決定及び原処分の取消を命じられた。(2013年10月)

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